怒る指導はドイツでもタブー。子どもが答えようがない叱責はいらない【4月特集】

2019年04月17日

育成を考える

4月の特集は「大学生指導者から見る4種の問題」がテーマで、二人の大学生コーチを取り上げる。第一弾は2回に渡って北陸大学4回生の小谷野拓夢さんに登場してもらった。第二弾は、ドイツのライプツィヒ大学に通う荒岡修帆さん。大学ではスポーツ科学を専攻し、インターンとしてRBライプツィヒでも指導を行う。大学で運動学、トレーニング科学、解剖学、生理学、教育学、心理学、経営学などスポーツに関わる基礎的なことを学ぶ学生ならではの意見を語ってくれたので、ぜひご一読いただきたい。
 
【4月特集】大学生指導者から見る4種の問題

文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、佐藤博之


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高校までは理不尽な指導に疑問を思わなかった

——まず、簡単に自己紹介をお願いします。

荒岡「ドイツのライプツィヒ大学に通う学生です。専攻はスポーツ科学。昨年の3月からインターン生として『RBライプツィヒ』のU9を中心に指導にも関わらせてもらっています。選手としては幼稚園の頃から遊びの中でボールを蹴り始め、小中では地域の町クラブ、高校ではサッカー部に所属していました。日本では、大学1年前期の半年間だけ小学生チームのコーチのアルバイトをしていました。プレーそのものは大学ではやっていなかったのですが、ドイツに来てからは地域のリーグで楽しんでいます」

——ありがとうございます。ドイツの指導現場に身を投じてみて、育成年代において日本との違いを感じる部分があれば教えて下さい。

荒岡「前提として、日本もドイツもそんなに変わらないのではないかというのが現在の意見です。私が注視しているのは、指導者が子どもたちを叱責することによって子どもたちがベンチの方ばかり向いてしまったり、練習中や試合中に保護者の方ばかり見てしまったりしていることです。そこが一番の問題なのかなと思っています。

 私もドイツのすべてを見ているわけではありませんが、グラスルーツレベルのところでは外から口を挟む親もいます。

 これについては日本もドイツも同じだと思います。日本のJクラブと地域のクラブ、こちらのRBライプツィヒと町クラブ、つまりプロクラブと地域のクラブとを比べると、プロクラブのようにレベルが高い環境では、親が口を挟むようなことはあまり見られず、そうでない環境だとそれなりに多く見られるというのはあると思います。だから、地域のクラブの指導者同士を比較しても、変わらないのかなと。問題は、褒めるよりも怒って教えようとしてしまうことにあるのではないでしょうか」

——なるほど。確かにプロだと叱責は少ないでしょうし、地域クラブだとやはり多くなるでしょう。そして、ドイツと日本とで同じ立ち位置として地域クラブ同士を比べると変わらないところもある、と。

荒岡「日本もドイツも関係なく客観的に見た場合、怒る指導というのは子どもの育て方、育成の仕方として良くないと思います。大人は怒ったとき、何をするにしても『●●はしてはダメ』という言い方になるため、言われた子どもは自分から何かを考えて行動することが減ってしまいます。
  
 教えることが目的なのであれば、褒めて教えても目的は達成できますし、そうであればポジティブなことをやって指導をした方がいい。怒って『●●はしてはダメ』を増やすのではなく、子どもから溢れ出たプレーに対して『その●●いいね!』と褒めたり認めたりすることを積み重ねても、同じ目的には到達できると思います」

——やってみて初めて「これはダメだった」と気づけますし、やる前から「これダメなのかな」という心理的状況でプレーすることはサッカーに限らず、スポーツにおいてはマイナス面が増えてしまいます。

荒岡「もはやスポーツに限らず、日常生活においても同じだと感じます」

——ここ数ヶ月間、サッカーに関わっている大学生と10名ほど話をしましたが、荒岡さんの意見は海外に留学経験がある人に共通する点が見られます。そういう人は日本と海外の生活を体験しているので、どちらのいい面も悪い面も知っているからこそ広い側面から物事を捉えて意見ができる傾向があるように思います。

 もちろん海外経験がないことがダメなのではなく、外の世界をのぞいたから言える意見を持つという点では、日本の指導者たちにとっては新鮮に感じる部分もあるのではないでしょうか。叱責をするような指導が「子どもの育成に良くない」と感じたキッカケは何かあるんですか?

荒岡「大学1年生の頃、自分が指導者として子どもたちに関わってからそう思うようになりました。選手としてプレーしているときは何の疑いもなくやっていましたし、単純に怒られたことで被害者意識を感じることもありましたが、それがダメだとまでは思いもしませんでした。『もっといい方法がある』みたいなことは特になく。理不尽な指導をする人もいましたが、私の中では『それは話をしたら済むことだろう』と思っていたので問題視していませんでした」

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