“シュート練習の相手”ではGK育成の意図は見えてこない【5月特集】
2019年05月24日
育成/環境
スクールでは完結しないから連携が必要
――「倒れたら守ることができる」部分など、そういった発育発達がそれぞれの年代で追いつきさえすればできるようになることはたくさんあります。そこを視野に入れて指導者側が8人制と11人制の共通項を見出しているかどうかは指導において大きなポイントです。ジュニア年代に身につけておかなければならないものに目を向けるのは、GKもフィールドも変わりませんよね。
野口「少し掘り下げると、自分と相手の距離感でどう立ち位置を取るかがポジション取りに関わるわけですが、ここにボールの大きさや人数は関係ないんです。相手の状況に対応できる考え方は普遍的なスキルです。ジュニア年代でポジション取りを身につけていれば、『自分がどれくらい守れるのか』は小学生から中学生になってゴールサイズが変わっても影響を受けません。自分がどのくらいの範囲を守ることができるか、相手との距離感がどれくらいか、そのうえでどの技術を出せばゴールを守ることができるかは今の自分にとって変わらないはずです。
小学生のゴールの場合、ここにボールがあればシュートコースはこれくらいになる。そのなかで自分がここに立ったとき、『左右に1mを守れたらシュートが止められる』とイメージすることができれば、その状況に必要な技術を磨けばいいわけです。そこから『7mの正規のゴールになった場合は横に広がるから、だったら違う技術だな』と認識できれば、その状況でのポジション取りがあっているからこそ別の違う技術が必要だと切り替えられ、次への課題が見えてきます。
ところが、『ただ相手の前に立つだけ』というような練習メニューをこなしてしまうだけだと、ジュニアユース年代ではゴールの高さが変わりますし、ループシュートの可能性が出てきたりします。ジュニア年代の間は、身長が低くて上からやられて失点することより正しい立ち位置、そこで必要な技術が何なのかに気づけるようになることのほうがよっぽど大事です。
だから、Bandeではそういうことに気づくことを深掘りしつつも、飛んで止めたりキャッチして止めたりするGK本来の楽しさを大切にしながら、GKコーチ側が気づきを意識的にトレーニングのなかに落とし込むようにしています。完璧なキャッチができる形のようなものは求めていません。少しくらい止め方が下手であっても、シュートを止めていれば『ナイスキーパー』と褒めています。
でも、そこに留まらず、『でも、キャッチできたらもっといいよね。じゃあ、正面のキャッチが正確にできないのに横のキャッチなんていきなりは無理だよね』というように次の段階への意識を促しながら、うまく練習メニュー同士につながりを持たせながら1日のトレーニングを構成しています。ジュニアの間は、それを繰り返すだけでも十分だと思っています。
うちはスクールですし、GKだけで高度な戦術的練習はできません。10年ほどGK専門で運営していますが、スクールの役割をそういうところだと認識しています。Bandeだけの練習でGK育成が完結できるわけではないですから。私たちは選手がBandeで学んだことをクラブに持ち帰り、自ら成長できるようにすることが仕事だと思っています。
あとは、心のケアです。例えば、ループシュートで失点した子がいたとします。でも、ループシュートで失点することって1年の間に何度もあるわけではありません。だから、そこに目を向けるよりは、もっと大事なことがあるわけです。PKで10回中、右に9回、左に1回蹴った選手がいて、GKから見ると左に飛んだほうが確率的には高いですよね。でも、そこでコーチが中央や右の確率を言い出したらその選手は意思を持って練習に取り組めないわけです」
――確率論であったり、GKとしての理論を裏付けとして選手に簡単な言葉で教えることは重要です。
野口「そもそも選手がチャレンジしないと、何も始まらないですからね。真ん中に立っていてシュートを止めたとしても、周囲からは『たまたま真ん中に立っていた』と見られるかもしれません。でも、正しく真ん中にポジションを合わせていたからこそ止められたわけです。私たちGKコーチはGKの立場でどれだけ気持ちを楽にさせるのかも仕事です。本来ならクラブチームのコーチが理解してくれるのが一番いいと思います」
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