“シュート練習の相手”ではGK育成の意図は見えてこない【5月特集】

2019年05月24日

育成/環境

5月は「GKの育成に向き合う」を特集テーマに、地域の現場を知る二人のGKコーチに話をうかがっている。一人目は、日本とタイでプロサッカー選手として活躍したノグチピント・エリキソンさん。そして、今回から登場する二人目は「Bande GK Academy」代表の野口桂佑さん。10年以上、埼玉県でGKスクールを運営し、現在100人近くが在籍する。長年、ジュニアを中心にGKコーチとして現場指導を行ってきた野口さんに「どんな考え方でGK指導を行っているのか」を中心に語ってもらった。
    
【5月特集】GKの育成に向き合う
 

文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、佐藤博之


  
GKの育成に向き合う①
    
手で止めるスキルと立ち位置に注力している

――GKスクールとして選手を指導するにあたって大切にされていることは何ですか?

野口「ジュニアの指導で大切にしていることは、トップからの逆算で何を指導するかを考えることです。つまり、11人制サッカーにどうつなげていくか。例えば、ジュニアユースからが正規のコートサイズです。ということは、8人制サッカーだけに特化した指導は、僕の考えからするとあまり重要なことではないものなんです」

――それはGK育成という点において、ということですね。

野口「例えば、8人制のコートサイズでボールが飛んだとします。でも、ジュニアユースに置き換えると飛んだかどうかは分からないわけです。だから、この段階で身体的な能力値で評価をするようなことは、GKスクールなので必要ありません。私たちはそういう部分を突き詰めるというよりは、トップでも必要とされる技術を身につけさせてあげたほうがいいという考えです。それがのちのちにつながるとも思っていますから」

――8人制と11人制の共通する部分に目を向ける、と。

野口「そのとおりです。そうすると、共通ではないのはボールサイズと重さ、コートの大きさ、人数です。でも、人数が違うということは戦術的な視点にも影響が出てきます。そうならば戦術的なことに注力しすぎることも難しいわけです。

 例えば、足下の技術は最低限持ち合わせていればいいですし、それよりもキャッチがしっかりできたほうがいい。そこで変わらないものが何かと考えると、結局ゴールを守ることなんです。そうとらえると、手を使った技術とともに大切なことはポジション取りの仕方です。要は、シュートを打つ選手の視野に対して『ゴールの真ん中に立てる』こと。これはゴールが大きくなろうが小さくなろうが、コートが大きくなろうが小さくなろうが関係なく、普遍的なスキルなんです。

 ポジション取りも認知の部分が必要だから、小さいころから『自分の立ち位置がどれくらいズレていたりするのか』という感覚的なものを養ってあげることが大切だと思っています。小学生用の5mゴールの真ん中でも、正規用の7mゴールの真ん中でも、『ゴールに対する真ん中の取り方』さえ分かっていれば変わりません。

 セービングという観点で見ると、GKで160㎝くらいの身長があれば5mゴールだと真ん中に立っていれば、横に倒れるだけである程度のボールはプレーエリアに入ってしまうわけです。だったら、そこは個人の条件で自然にできることなので、Bandeの練習ではステップを入れたセービングという状況設定のトレーニングにし、7mゴールへとつながるようにしてしまいます。

 うちはジュニアユースのカテゴリーまであるので、その先を見据えた練習を意識しながら進めています。『ジュニアで大事』という視点だけで指導を考えると、大切なことが置き去りになります。『ジュニアユースでも大事』という風にきちんとした積み重ねで考えていくと、GKは『自分のプレーエリアを押さえたうえでゴールを守ること』と、『いかに状況に応じて正確に素早くポジション取りをできるか』がコアな部分になってきます。いかに素早く正確なポジションについて、自分のプレーエリアの間合いでゴールを守るか。そこに考え方をフォーカスしてあげたほうが次のカテゴリーにつながりますし、しっかりとした積み重ねになると思うんです。

 例えば、サイドからセンタリングシュートの練習。5mゴールなら2・3歩のステップを踏めば間に合うシュートも、7mゴールならランニングしながら対応しないといけなくなります。ならば、7mゴールを目安にポジション取りや判断のスピードをつけさせてあげたほうが絶対にそのGKのためになるはずです。他にも、ジュニア年代でよくあるハイボールへの対応です。

 最近、中学校1年生の大会に帯同したのですが、『自分は背が小さいから』とビビって後ろに下がってしまうプレーが多く見られました。でも、そうするとスタートポジションが後方に低くなってしまうので、普通なら『キーパー』と声をかけてボールを取りに行くような状況にも反応できなくなってしまいます。

 そのGKが前に行こうと飛び出す判断と声をかけるタイミングと動くタイミングは間違っていないのですが、前に行く場所、つまり立ち位置が悪いのでミスにつながっているんです。だったら、ジュニアユース期間では3年間で身長が伸びるわけですから、私は『ハイボールへの対応はGKコーチであるオレがしっかりとした基準を持って見ているから、ポジショニングの部分を勉強してくれ』と伝えました。

 ハーフタイム時に『あと、5m前に出るといいよ。後ろは大丈夫だから』と声をかけたら後半からどんどん飛び出してピンチを防ぐことができるようになりました。少しずつ身長が伸びてきたタイミングでコーディネーショントレーニングを取り入れながら身体的なことを調整していけばいい。そうすれば後ろのスペース、浮き球はちゃんと対応できるようになります。でも、今低い立ち位置でゴールを守る癖がついてしまうと、その後は怖くて前に出ることができなくなってしまいます。そういうことはとても大事です」

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