「なぜ、うまくいかなかったのか」その原因を考える習慣を。いわゆる“センス”は後天的に育てられる【サッカー外から学ぶ】
2019年06月20日
育成/環境
「センス」で片づけられがちなイマジネーション豊かな選手を育てるヒント
①アイデア
これはアイデアの質と量が安定している能力のことです。「思いつくだけなら誰でもできる」とか、「アイデアは形にしてこそ」というのも真実かもしれませんが、アイデアが出やすい、その質が高いというのは能力のうちのひとつです。
②オリジナリティ
日本語では独創性と言ったりしますね。本人のもともと持っているものに根ざした「感覚型」と伝統や常識、時代を踏まえたうえで構築する「研究型」に大別できます。
③形状ストック
絵を描かない人にはピンとこないかもしれませんが、形状を記憶しておくことは絵を描く際の引き出しの多さにつながります。覚えている形状の量が多ければ絵を描くスピードは格段に上がります。
④構図構成力
一枚の絵の中でバランスを取って要素をうまく構成する力です。好きなもの好きな場所に書いているだけでは、いい絵は描けません。サッカーにも関係していそうな気がするのですが、この能力は視野の広さと関係しています。絵を描き慣れていない人は鉛筆の先しか見えていません。この状態では、画面全体のバランスを取ることは難しいのです。
⑤形を取る能力
形を正確に描き取る能力のことです。「自分が描いた絵のバランスがおかしくないかチェックし、修正できる能力」と置き換えることもできます。
⑥立体を把握する力
絵のうまい下手を分ける大きな分岐点として立体をどう把握できているかとうのがあります。技術が稚拙でも立体をとらえるのがうまいために陰影がきちんと描ける人もいます。「光と立体の関係性を見る」ことができるようになるトレーニングで鍛えることが可能です。
⑦テクニック
技術のことですが、もう少し美術的に言うと「線そのものが生きているかどうか」によって能力に違いが出ます。“小手先のテクニック”という言い方をしますが、プロが描いた線は、たとえ一本の線であってもそれとわかります。線が「手によって描き出される軌跡」であることから身体的な能力と言えます。
⑧完成させる力
極端なことを言えば、これがなければ何も起こりません。作品を完成させないことには他の能力を育てること、または能力の成長を実感することもできません。みなさんの考える“芸術”からは遠いかもしれませんが、集中力、継続力、自己管理能力を総合した完成させる力は「絵をうまく描く能力」の要です。
駆け足で紹介してもらったが、①~⑧までほぼすべての項目がサッカーに置き換えて考えられる。①のアイデアはまさに発想、イマジネーションの部分だろう。②のオリジナリティはチームの志向するサッカーの中でいかに自分の存在意義をつくるかというのに似ている。「感覚型」はいわゆる“センス”でこなしてしまう選手のことにも思えるが、「研究型」でもオリジナリティは育てられるというのはありがたい。③形状ストック④構図構成力⑤形を取る能力⑥立体を把握する力の3つは、特にサッカーとの共通点が多い。「視野の広さ」「空間把握能力」はサッカーの能力としても認知度が上がっている項目だろう。ここら辺を掘り下げてサッカーと「絵を描くこと」の共通点を学ぶのも面白いかもしれない。
⑦テクニック⑧完成させる力はアウトプットに関する項目だ。8つの能力の中のテクニックとしてとらえれば成富さんのいう「小手先のテクニック」ではなく、必要で意味のある線を描くためのテクニックを身につけることができる。そして、完成させる力は、子どもたち向けに考えれば、昨今教育界で話題のアメリカの心理学者、アンジェラ・ダッグワースが提唱する「やり抜く力(GRIT)」にも通じる。
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