サッカー指導者は、サッカーを通して子どもたちに何を伝えようとしているのか【サッカー外から学ぶ】
2019年07月18日
育成/環境
【花まる学習会の代表を務める高濱正伸氏】
「褒める」ではなく「認める」
スポーツに可能性を感じ、ポテンシャルを認めている高濱さんだけに、現状には手厳しい。同時に「改革ができる場所であり、改革すればものすごく良くなる余地がある」と期待を寄せている。
「必要なのは、適切な目標を設定すること、それと全員を認めることです。言うのは簡単ですが、これが結構難しい。大人の思考では、自分がシビアな実力社会に生きているから、ついつい慰めで認めちゃう。『大したことないけど一応褒めておくか』は、絶対にダメです。その安易さは、子どもにはすぐにバレてしまいます」
日本でも「褒める指導」が有用だとされてしばらく経つ。自己肯定感を育むことの重要性は言うまでもないが、白々しい“セリフ”が通用するほど子どもたちは簡単ではない。
「たとえば、絵を描くことについて。子どものころにみんな絵を描くのに、一生趣味として楽しめる人は育たない。これはお父さん、お母さんの声がけに一因があります。
『何を描いたの?』とお母さんが聞きます。この言葉自体がそもそもダメ。子どもたちにとっては、何を描いたかではなく、絵を描くこと自体が楽しい。大人は『何かを描かなければいけない』と決めつけている。目的がないと絵を描いちゃいけないと思っているんですね。さらに、何かに似せて描くことを『うまい』と評価してしまう。『魚にそっくりじゃん』『写真みたいだね』こんな褒め方をしたら、似せることが目的になってしまいますよね」
図らずも、高濱さんから前回の『サッカー外』のテーマだった「絵」の話が出たが、では、本当の意味で褒めるとは? 慰めではなく、その子のためになる、伸びるための声がけとはどんなものなのだろう?
「“認める”ということなんです。サッカーなら、ボールを蹴るのってそれだけで楽しいですよね。壁に向かってボールを蹴って、跳ね返ってくるのが楽しくてそればっかりやっている子もいるでしょう。その気持ちのまま、チームでは『きょうは一歩も動かずに壁へのパス10回成功したから新記録』みたいな、自分なりの記録、課題設定でやればいい。日本では、目標ですら必ず誰かから与えられてしまう。コーチの仕事は『きょうはこれをやります』と指示する人だと思っている人も多いのかもしれません。こればかりやっていると、やっぱりスピード、速くできる人が褒められる、競争的な仕組みになってしまいます」
「プロサッカー選手を育てる」ことも「メシが食える大人に育てる」ことに違いないが、プロにはなれない子どもたちが大半であることを考えると、プロサッカー選手ではなく、サッカーを通じて人間としてのプロを育てることを意識したら、日本のサッカー界、スポーツ界、もっと言えば社会全体がより良く変わるはずだ。
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
フットサル日本女子代表、タイ遠征参加メンバー発表!2025.04.01
-
なでしこジャパン(日本女子代表)、国際親善試合に臨むメンバー発表!2025.03.31
-
U-17日本代表メンバー発表!【AFC U17アジアカップ サウジアラビア2025】2025.03.19
-
サッカー日本代表メンバー発表。上田綺世や伊藤洋輝が復帰!【FIFAワールドカップ26アジア最終予選】2025.03.14
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- なでしこジャパン(日本女子代表)、国際親善試合に臨むメンバー発表!
- ポジションが変わらない息子
- 2013年度 ナショナルトレセンU-14 後期の開催概要および参加メンバー発表
- 頭と体を同時に鍛えるアジリズムトレーニングの基本
- 昨年度全国決勝大会で準優勝のmalva千葉fc U-12、4年連続で全国の舞台へ
- 乾貴士選手の実戦的ドリブルテクニック!! DFの「心理」を利用する突破法
- 『ダノンネーションズカップ2018 in JAPAN』予選リーグ結果
- 子どもは寝ないと育たない? 再認識したい「睡眠」の重要性
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- U-17日本代表メンバー発表!【AFC U17アジアカップ サウジアラビア2025】