「俺たちが中心になっちゃいけない」田中順也と三菱養和SC時代の恩師が考える「指導者の心構え」

2024年05月21日

育成/環境
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 柏レイソルやスポルティング・リスボン(ポルトガル)、ヴィッセル神戸、FC岐阜でプレーし、J1通算51得点、日本代表でもプレーした田中順也は、2023シーズン限りで現役を引退した。FC岐阜のアカデミーコーチとして指導者としてのキャリアを歩み始めた田中は、どのような指導者を目指すのか。三菱養和SC時代の恩師である生方修司氏との対話を通じ、指導者として必要な心構えを学んでいく。

取材:Footballcoach、構成:ジュニアサッカーを応援しよう!編集部

田中順也氏と生方修司氏の対談動画を公開中!『Footballcoach』のサイトはこちら


「優しいことばかり言っていればいいわけじゃない」

 田中順也は「どういうふうに伝えたら、子どもたちの印象に残るか」を考えているという。昨年まで現役選手だった田中は、「監督よりも近い距離で選手と接することができる。だから、よりパーソナルな指導ができる」と指導者としての強みを見出すが、その原体験は、生方修司から受けた指導にあるという。

 生方は選手と指導者の関係性について、「究極で言ってしまえば、人と人だから」と言う。

「チームとしての大枠でいろんな厳しいことを言ったりもするけど、実際は個人対しては自信を取り戻す、自信を持たせることがコーチの仕事としてはやっぱり大事なのかなと。『お前は絶対に大丈夫だよ。できるよ』とは順也にも言っていたし、まずはそれが凄く大切なことだと思っている。だから個別対応がすごく多いのは今でもそんなに変わっていない」

 三菱養和のOBとしては、相馬勇紀、中村敬斗らが海外に渡り、日本代表でもプレーしている。生方は「順也もそうだったけど、目がキラキラしていた。上に行く子ってみんな目がキラキラしている」と話す。ただ、それはその選手本来が持つ輝きであると同時に、指導者が主体的に関わって、輝かせ続けなければならないものでもある。

「もちろん、優しいことばかり言っていればいいわけじゃない。サッカーの原理原則を教えながら、自分のやりたいことだけやっているやつには叱咤激励するし、昨日より1歩頑張れたときにはめちゃくちゃ褒める」

 田中は養和が輩出した相馬や中村のような選手を育てたいという目標を持つ一方で、生方は「輩出したとは思っていない」と謙虚な姿勢を貫く。

「邪魔しないように、スクスクと育って、ストレスなく、キラキラしていた子の目が死なないように努力してきただけ。やっぱり俺たち(指導者)が中心になっちゃいけない。順也は実績を残したけど、そううまくはいかない。だから一旦そういう思いは置いて、人間・田中順也として正面から向き合ってあげるだけでいいと思う」

 田中の1つひとつの問いに、恩師である生方は指導者の先輩として実体験を交えながら言葉を紡いでいく。対談動画では、さらに深い指導者論へと話題が移っていく。

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