息子が所属するU9のアシスタントコーチとしてできること【子育て奮闘記vol.2 by「中野吉之伴 子どもと育つ」】
2018年12月16日
コラムドイツで15年以上サッカー指導者として、またジャーナリストとして活動する中野吉之伴。2月に突然「SGアウゲン・バイラータール」のU15監督を解任された。新たな指導先を「どこにしようか?」と考えていた矢先、息子が所属する「SVホッホドルフ」からオファーが舞い込んだ。さらに元プロクラブの古巣フライブルガーFCからもオファーを受ける。そこから最終的に決断したのは、2つのクラブで異なるカテゴリーの指導を行うことだった。この不定期連載は、息子が所属する「SVホッホドルフ」でコーチとして感じた日常を書き綴る「子育て奮闘」である。
【vol.1】僕、息子のチームでコーチを始めました。
文・写真●中野 吉之伴
息子のチーム「ホッホドルフ」でコーチをするのは楽しい
大変なこともたくさんある。
特に、最初の課題は我が子との関係だった。息子たちのチームの他のお父さんコーチの様子を見ながら、気をつけようとは思っていたが、実際にやってみると確かに難しいなと思う場面が連続してやってくる。
次男チームの監督を務めるバスティアンもお父さんコーチだ。思ったことをすぐ口にしてしまうタイプできっちりサッカーをさせたがる。とはいえ、8歳の子が言われたことすべてを理解するのは難しい。わからないことの方がまだ多い。試合中にゴチャゴチャした状況になると、どうしていいかがわからなくなってしまう子ばかり。それはそうだ。それが普通だからだ。
目の前に自分がマークする相手がいて、ボールが見えていて、ゴールがどこにあるかはわかっている。そのくらいのシンプルな状況だったら、やるべきプレーはわかる子たちだ。でも、試合の流れで急にまわりに何人も相手がいたりするときがある。
どの選手をマークするの?
待つの?
あたるの?
一瞬、パニックになる。迷うとプレーが遅くなるし、止まってしまう。でも、外から見ている大人にはその葛藤がわからない。子どもたちは必死だ。彼らは監督の言うとおりにすることが正しいと思っているし、そうすることでもっといいプレーができて、試合にも勝てると信じている。言いすぎないようにはしようとはしているようだ。話を交わしているとそのあたりのことに気を配っていないことはよくわかるし、口から飛び出そうとなる言葉を必死に抑えようとしている姿をみることもある。
ただ、他の子どもにはまだセーブする気持ちが、我が子が同じようなミスをすると我慢が抑えられなくなってしまう。息子のマティが前にボールを持ったフリーの選手がいる場面で、自分のマークが近くにいるけど、迷った挙句にボールを奪いに行き、結果としてパスを出されてピンチを作ってしまった。
「何で当たるんだ!」
怒鳴られる。シュンとする。次は当たらないでおこうと思う。実際に待って自分のマークを追った。すると、フリーの相手のシュートが決まってしまう。バスティアンがまた沸騰する。
「何で当たらないんだ!」
また怒鳴られる。言われた通りにやったのに。それでもがんばる。褒めてもらいたいから。それでもサッカーが好きだから。子どもはいつだって一生懸命だ。だから、「そんなこと言われたらかわいそう」って思う気持ちも本物だ。でも、お父さんコーチの多くは自分の気持ちの葛藤に苦しみながら戦っていることもわからなければならない。だからやっていいわけではないけど、だからできないとダメと思うのもまた違うのだ。
バスティアンも試合後には反省している。「言わないようにしているけど、つい…」。この「つい」が曲者だ。自分で意識的に抑えようとしない限り、直せるものではない。抑える代わりに気を散らせるための手段を身につけたり、あるいは受け止め方を変えるようにする。大変なのは、私もわかる。でも、だからこそ、父親のすごさの見せ所でもあるのだ。
「がんばろうではないか。これほど困難なテーマに我々は向き合っているんだぞ」
カテゴリ別新着記事
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 全試合日程・組み合わせ・会場一覧【第56回全国中学校サッカー大会】
- クラブとともに戦い、走り続ける背番号13――。FC岐阜の永久欠番
- FCポルタ、デサフィオC.F、武生FCブルーキッズらがラウンド16進出!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- FC大泉学園が3連勝スタート!FCバルセロナ、千葉県トレセンなども2連勝で好発進【U-12 JSWC2025】
- マルバ千葉fcがFCトリアネーロ町田を下し優勝を飾る!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- トリアネーロ町田、マルバ千葉、TSAフットサルスクール、リオンJr.が準決勝進出!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- 全試合日程・組み合わせ・会場一覧【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- マルバ千葉fcとFCトリアネーロ町田が決勝の舞台で激突【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- 青森山田中と神村学園中が2回戦で激突!流通経大付柏中、駒場東邦中などが1回戦を突破【第56回全国中学校サッカー大会】
- FCトリアネーロ町田、京都長岡京SS、ともぞうSCらが2連勝スタート!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】