プレスに行くかどうかの判断の基準は? ジャストタイミングのアタックを可能にする条件とは

2022年09月05日

育成/環境

個人だけで相手にプレスにいってもそこに連動性を伴わなければ、プレスはかわされ自分で作ったスペースを相手に利用されてしまう。では、プレスに行くかどうか、何を基準に決断するべきなのか。『フットボール批評 issue37』で連載中の河岸貴氏の「現代サッカーの教科書」から一部抜粋してして紹介する。

『フットボール批評 issue37』

構成●孫勝基



(写真●Getty Images)

相手のミスを誘発させるための「ジャストタイミングのアタック」

 では、ジャストタイミングでのアタックとは、どのようなシチュエーションなのでしょう? ジャストタイミングでのアタックを成立させるためにはどのような条件が必要なのでしょう? それは、バイエルンのコマンが行ったように、ボールが相手に到達すると同時にアタックする選手自身も相手に到達している状況こそが、「ジャストタイミングでのアタック」となります。

 そして、このジャストタイミングでのアタックを可能にする基本的条件、目安とは、プレスをかける選手の移動距離がパスの距離の1/2であることです。

 先程のシーンでミュラーがニャブリに中に絞るよう指示し、ニャブリは中に絞り左SBへ展開されたボールに対し、「ニャブリはボールと自身の距離を論理的に捉えアタックをやめ、ボールをただ漠然と後追いせず斜め後ろ方向に帰陣しながら相手左SBが持つボールに対して正面から対応します。」というシーンがありました。このシーンではまさに、ジャストタイミングでのアタックを可能にするポジショニングであるかどうかの検討をニャブリ自身が行っていました。ニャブリは同シーンで、パスの距離に対し自身の位置が遠いと認識し、後追いになるようなプレーは選択せず、帰陣する判断へと瞬時に切り替えます。この「行かない」英断は素晴らしいものでした。コマンのジャストタイミングでのアタックによって、ボールはゴール方向へとこぼれていきます。そのボールをレヴァンドフスキが拾い、中央に待ち構えるミュラーにパスが通れば、「ボールを奪う攻撃」から「ゴールを奪う攻撃」へと結びつく理想的なシーンとなり得ましたが、残念ながらレヴァンドフスキはボールの憶測を見誤りボールロストしてしまいま
した。


全文は『フットボール批評 issue37』からご覧ください。


【商品名】フットボール批評 issue37
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2022/09/06

【書籍紹介】

特集:[プレーモデル][プレーコンセプト][プレースタイル]を再定義する

流行りの横文字にだまされるな

日本社会全体に横文字が氾濫しているのと同様に、サッカー界にも横文字は横溢している。日本サッカー協会が7月15日にホームページに公開した全55ページに及ぶ選手育成の指針名「ナショナル・フットボール・フィロソフィーとしてのJapan’s Way」からして、現状の趨勢を表しているといっていい。もちろん、本文中にもこれでもかと言わんばかりに、横文字が散りばめられている。

小誌は今回、サッカーチームの指針ともいえる横文字[プレーモデル][プレーコンセプト][プレースタイル]の再定義に挑んだわけだが、前記の「国民的蹴球哲学」(あ・え・て)ではこの3用語ではなく[プレービジョン](26~32ページ)という表現が使われている。ガクッ……。指針を表す横文字でさえ各所で統一されていない現状では、迷い人が量産されるのは目に見えている。「STOP 横文字被害! 私はだまされない」。急場しのぎとして、ひとまずこの姿勢が重要かもしれない。


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