「ミスを減らす」より「勇敢に仕掛ける」ことを心がけよう!! ドイツ育成メソッドに学ぶ「年代別トレーニング」【小学3・4年生編】
2016年07月21日
サッカー練習メニュー連載第二回目に続き、ドイツの年代別トレーニングを参考に、ジュニア年代を幼稚園、小学1・2年生、小学3・4年生、小学5・6年生に区分けし、その年代に応じたトレーニングの考え方と実例を紹介いたします。連載第三回目は「小学3・4年生」です。習得過程にある基本技術を生かし、自ら仕掛ける積極的な姿勢を養えるトレーニングも取り上げます。
(構成●木之下潤 写真●Getty Images)

前回同様、トレーニングを考案する上で重要なことは、この年代の身体的・精神的な性質・特徴を把握しておくことです。
▼小学3・4年生の性質・特徴
1.体を動かすことを楽しめる
2.競争への強い関心
3.繊細さが顕著な場合が多い
4.上半身と下半身のバランスが取れてくるが、まだ筋力は弱い
5.テーマへの集中力は見られるが、まだ持続できない
6.大人の示す模範に無批判に従う
低学年から成長し、小学3・4年生の子どもたちには、強い競争心が生まれるため、「1対1のベースづくり」に適しています。さらに大人の示す模範に無批判に従うことをうまく活用し、サッカー選手に必要な基本技術をしっかり習得させるといいでしょう。
スキル習得のカギを握るのは、指導者のポジティブな言葉掛けです。繊細さが顕著であるということは、一方で「失敗する」「負ける」ということを大人が強調すれば、消極的なプレーが増える原因になります。
よく育成現場では「ミスをするな」「ミスを減らそう」という言葉が飛び交いますが、ここから変えていかなければなりません。どんどんチャレンジさせてください。当然、失敗もあるでしょうが、そのときは問いかけながら状況をつかませ、次へのチャレンジの方法と意欲が湧くようなコミュニケーションを図りましょう。
この年代で大切なことは「勇敢に勝負を仕掛ける」「駆け引きで優位に立つ」など、とにかく自らが積極的にプレーに、試合に絡んで経験を積むことです。その中からしか問題解決の方法や自らのプレーの引き出しを増やすことはできません。
ただ、注意すべきことがあります。それは身体的な面です。具体的には、上半身と下半身のバランスがとれてくるが、まだ筋力は弱いという特徴があるため、勝負に負けた理由や失敗の訳がこの点にあれば、指摘そのものが指導者の勉強不足であり、負けや失敗の原因ではないということです。そこは注意深く選手たちを観察しなければなりません。
また、テーマへの集中力が見られるようになるということは、小学1・2年生とは違い、考えてプレーができるようになっている証です。だから、ドリブルもボールを運ぶだけでなく、スペースへ運ぶ、ボールをキープする、突破するなど状況によって使い分けられるように取り組むことが重要です。もちろん、フェイントやパス、シュート、ボールを止めて運ぶといった他の技術も同じです。
試合に生きる技術は、単に1対1という対人トレーニングの中だけでは学べません。人数設定を少人数にしたり、ボールに関与しない味方や敵を加えたりしながら、指導者が工夫して状況づくりを行わなければなりません。そこを意識し、子どもたちが積極的にプレーできる環境づくりを整えてあげましょう。そうすれば、判断のベースが一人一人の選手の頭の中で構築されるはずです。
【1/22トークイベント】中野吉之伴氏×末本亮太氏『ドイツサッカーの育成文化をどう日本に落とし込むか』
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