微減する4種年代のサッカー登録人口に田嶋会長が抱く危機感。「子どもたちが心からサッカーを楽しめる国にするために…」

2017年05月24日

インタビュー

第14代会長就任から1年あまり。日本サッカー協会のトップとしてさまざまな現場へ足を運んだ結果として何を見て、何を感じたのでしょうか。ジュニア世代(4種)へのサッカーの普及と育成にテーマを絞り、田嶋幸三会長(59)のビジョンをうかがいました。

第5回となる今回はいよいよ最終回。田嶋会長が理想とするジュニア世代のサッカーの在り方とは。

【特集】就任から1年――。JFA田嶋幸三会長と考えるジュニアサッカーのこれから

取材・文●藤江直人 写真●佐藤博之、ジュニサカ編集部


育成日本“復活”を目指す

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――会長に就任される以前から4種年代の育成に注力されてきましたが、日本サッカー界の将来を担う子どもたちが置かれた実状を、現時点ではどのように認識されているのでしょうか。

「U‐20とU‐17の両日本代表がアジアの予選を突破し、前者は5大会ぶり、後者は2大会ぶりにワールドカップの舞台で世界との戦いに挑む今年は、長く取り組んできた『育成日本復活』への第一歩になると思っています。現時点における世界との差がわかってくるので、我々がしっかりそれを分析して、ジュニア世代への指導に落とし込んでいかなければならない。

 前身のワールドユース時代から7大会連続で出場していたころは、日本の育成システムが高く評価され、アジアの国々から目標とされてきました。前回のU‐20ワールドカップに初出場を果たしたミャンマー協会の方からは、『日本と同じことをやったら出場できました』とお礼を言われたほどです。ただ、僕自身はこの10年間の取り組みを、すべて否定するつもりはありません。

 だからこそ、『復活』という言葉を使っています。子どもたちの成長は待ってくれませんから、本当にいますぐにでも復活させなければいけない。ピラミッドの裾野の部分をしっかりと固めていって、そこから有望な子どもたちがどんどん出てきて、クラブがさらにレベルの高い指導をする。これが理想の姿だと僕は思っています」

――その一方で課題となると、どのようなことがあげられるのでしょうか。

「4種年代全体に対して、僕は大いなる危機感を抱いています。少子化が進むなかで微増していた4種年代のJFA登録数が、実は2年前から減少に転じています。初めて報告を受けたときは衝撃でした。少子化に比例して減少していくのであれば、日本全体としてそういう傾向なのかと理解できますが、少子化のタイミングとずれたということは、何かしらの原因があると考えています。

 サッカー人気全体に起因しているかもしれない。ジュニア年代で導入した8人制サッカーは、技術の習得や判断の回数などが格段に増えることからこの年代の発育や育成に対してとても有益なのですが、残念ながら勝つために交代が活発に行われていないケースもあるんです。同じく2015年から導入したリーグ戦がきついという理由で子どもたちがやめていく、という報告を受けたこともあります。前回の連載で取りあげた移籍の問題もそうですし、小学生年代に限って女子を女子登録から4種登録に変えたことも、少なからず関係しているのかもしれません。

 女子に関しては、トレセンを例にあげれば、男子と一緒のチームでプレーしていたほうがいろいろなことが伝わりやすい、ということもあって4種登録に変えました。男子チームのなかでプレーできる女子にとってはよかったと思っていますが、一方で女子全体の人口が増えているのに対して、ジュニア年代における女子だけのチーム数が減ったと指摘する声もあるのも事実なんです」

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