チーム動画紹介第70回「エストレーラフットボールクラブ」
2009年07月13日
未分類キッズからの育成を大切に
技術とともに心も鍛える
今回は、エストレーラフットボールクラブ(神奈川県横浜市港北区)の練習にお邪魔して、代表の奥村良玄さんとテクニカルディレクターの高野幸宏さんにお話を伺いました。お寺の副住職も務められている奥村さん。練習後には座禅体験もありました。
「エストレーラフットボールクラブ」ってどんなチームですか?
設立は2001年です。横浜市港北区高田にある光明幼稚園の在園児と卒園時を対象としたサッカークラブとしてスタートしました。現在は、幼児クラスからジュニアクラスまで、195名の子どもたちが活動しています。
エストレーラとは、ポルトガル語で「星」という意味です。星のように輝く存在になって欲しいという気持ちを込めています。
チームの指導方針を教えてください。
エストレーラでは、個で積極的に仕掛けることのできる選手の育成を目指し、特に“ドリブル”を重視しています。敵味方が1対1の状況であれば、必ず勝負をして相手を抜き去ることのできるドリブルの技術と、ミスを恐れずに挑戦をする「勇気」や「度胸」を兼ね備えた選手を育てたいと思っています。
そういった方針をもとに、トレーニングではどう実践しているのですか?
カテゴリーごとにチームコンセプトを決め、そのなかから「できていること」と「できていないこと」を分析し、「できていないことをできるようにする!」ことを主眼に置いたトレーニングテーマを設定します。トレーニングは、そのテーマをもとに作成した練習スケジュールに沿って実践をし、試合で成果の確認をします。担当した指導者は、練習後、試合後に、必ずレポートを作成することに取り組んでいます。練習の状況をトレーニングレポートとして、試合内容をゲームレポートとして持ち帰り、総括をテクニカルレポートに仕上げます。チームコンセプトと照らし合わせることにより、新たな課題の抽出ができますので、チームコンセプトを作り直すことに役立てています。
また、エストレーラフットボールクラブでは選手、会員様の体調管理の一貫として、熱中症対策を行っています。運動時の水分補給には、OS-1(経口補水液)をトレーニング時、トレーニング終了時に摂取するようにしております。
きょうの練習が終わったあとに、座禅体験が取り入れられていましたが?
小学校6年生のメンバーには、座禅を体験してもらいました。現代の小学生は、学校が終わっても塾やスポーツなどの習い事があって、なにかと忙しく「いろいろなことを考える」余裕がありません。時には、静かな空間に身をおいて「自分を振り返る」時間を持つことも必要なのではないでしょうか。また、「我慢をする」ということも覚えて欲しいことのひとつでした。蒸し暑い本堂のなかで、黙って動かないようにして座っていることで、精神面を鍛えるきっかけにしてもらえればと思います。座禅の時間は大人だと通常40分くらいです。今回はちょうどサッカーのハーフの時間にあたる20分間にしましたが、子どもたちの集中力が続く範囲ということで設定しました。これからも3カ月に一回など、定期的に開催する予定です。
今後の目標を教えてください。
幼稚園児から大人までの幅広い年齢の人々が、生涯スポーツとしてサッカーを楽しむことのできる、地域に根付いたサッカークラブを作ることが目標です。
そのための一歩として、来年の4月からジュニアユースのチームをスタートさせる予定です。将来的には、大人になった彼らが、地元でサッカーを続けることのできるよう、受け皿的存在のチームをエストレーラで用意したいですね。やがて現役を引退する時がきたら、今度は指導者として、子どもたちにサッカーを教える立場になってもらい、生涯サッカーに携わっていることのできるサイクルを作り上げていきたいです。
編集部コメント
1対1の練習でのこと。敵を見事に抜き去った子どもがいましたが、それを見ていた奥村さんは「今のプレーは、練習では突破できたけれど、試合では通用しないよ」と声をかけ、その子のテーマだという「抜いた後のスピードアップ」の指導をしました。
対人プレーのトレーニングでは、選手、指導者ともども、「突破する!」ことや「ボールを奪う!」ことに意識が集中してしまい、「結果がよければ良し!」とされる雰囲気になりがちです。そんななかで、成功したことだけで良しとされず、課題を拾い上げてもらい、指摘を受けることができたのは、彼にとって、大きな収穫となったのではないでしょうか。技術的な成長はもちろんのこと、「コーチが見ていてくれる!」と思えば、やる気や意欲の心も芽生えるのではないでしょうか。
(文● 山本 浩之)
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