【U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013 特別コラム】世界との戦いで見えた「差」と日本の育成年代に求められる課題とは?
2013年08月31日
コラム日本の育成現場を変えない限り何も変わらない
とはいえ、技術、戦術の指導をどれだけ改善しても日本の育成現場に長年存在し続ける「リーグ戦文化の欠如」という問題が解決しない限り何も変わらないだろう。もちろん、各年代、各地域でリーグ戦化が進んでいる現状は把握しているが、ここで言う「リーグ戦」とは欧州や南米のサッカー大国に当たり前のものとして存在する、オフシーズンとセットになった年間リーグのことを指す。加えて、レベルが拮抗していなければ意味がない。
例えば、一時帰国した今夏に日本で様々なカテゴリーの試合を視察したという坪井氏は、「日本ではゲームが動くことが少ない」と話す。「要するに、2チームがマッチアップして、片方のチームが自分たちのやりたいことができない状況、何とかしないといけない状況になった時に対応できないのです。そうなるといい状態にあるチームは特に何もしなくてもよくなります。例えば、スペインの各年代でバルサと対戦する相手は、毎回何らかの策を講じます。最初に前からプレスをかけ、それが外された時には次なる手がある。そうするとバルサの方も何かを変えないといけなくなります。日本のチームにはこういった駆け引きが少なく、それは日頃の試合の中で戦術的な駆け引きをする習慣がないということだと思います」
今大会、唯一バルサと2度対戦した東京ヴェルディジュニアは、共に大敗したとはいえ、2度目の対戦となる準決勝では明らかに1試合目とは異なる試合の入り方をした。一度バルサの強さを肌で感じた東京ヴェルディジュニアは、前線からの激しいプレスを徹底し、球際での厳しい勝負に怯むことなく、攻撃時には無理にドリブルでつっかけることなく、シンプルなプレーを試みて得点チャンスも作り出した。この素早い修正力や適応能力の高さは、日本人の持つ強みであり、だからこそバルサほどの相手が日本国内にいないとはいえ、日常的に拮抗したレベルで年間を通してリーグ戦を戦う育成環境が整った時の日本サッカーの進歩は飛躍的なものとなるに違いない。

最後に、今大会で誰もが注目したバルセロナ所属の久保健英君について少し言及しておきたい。バルセロナのマルセル・サンス監督は、「彼の持っているドリブルやゴールに向かう姿勢を活かしつつ、バルサのサッカーを取り入れて成長しています」と久保君のこの2年の成長を高く評価していた。バルサという世界的なビッグクラブの下部組織に日本人で初めて入団した以上、世間の注目を浴びることは致し方ない面もあるが、本当に久保君の成長やバルサでの成功を期待するのであれば静かに見守る以外ない。大会3日目の1試合目に体調不良で前半の早い段階で途中交代した久保君だが、バルサの一員として日本で大会を戦った12歳の少年の精神的な負担、プレッシャーは想像を絶するものだったに違いない。「日本のメッシ」、「メッシ二世」といった評価や形容詞は日本サッカー界の宝を潰すことにもなりかねないわけで、「タケフサはタケフサでいてくれればいい」と語るサンス監督のような態度、スタンスで日本から静かに彼の成長と活躍を願おうではないか。
<関連リンク>
・U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013
・【フットボールチャンネル】バルサの下部組織に所属する久保健英君。大きく成長した“2つの要素”に迫る
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