丈夫な体をつくるには!? 子どもの成長期に大切な〝骨づくり〟を学ぼう!!【前編】

2013年11月23日

コラム

丈夫な骨づくりに必要な「四つの栄養素」

骨の質、いわゆる骨質をアップさせるには、カルシウム以外に四つの要素が欠かせません。まず、「ビタミンD」と「ビタミンK」。

骨は吸収されたカルシウムが沈着し「石灰化」というプロセスを踏んで成長します。この吸収に関わるのが「ビタミンD」。そして骨の中でカルシウムがピッタリとおさまるように接着剤のような役割を果たすのが「ビタミンK」です。骨粗しょう症など骨の疾病を抱えた患者さんに処方される薬のひとつにビタミンKを用いたものがありますが、実はそれを服用するマラソン選手もいるほど。そのくらいアスリートに注目されている栄養素といえるでしょう。

ビタミンKを日常の食事で摂取するには、発酵食品や青野菜から。味噌やチーズ、小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなどいろいろある中で、一番効率がよいのが納豆です。小鉢に盛ったほうれん草のおひたしで100マイクログラム弱のビタミンKが含まれますが、納豆1パックには300マイクログラム。納豆の消費量の少ない都道府県では高齢者の骨折が多いというデータがあることもうなずけます。

現在、日本人の食事摂取基準(2010年版)では、ビタミンK摂取の上限量は定められていません。そのため骨づくりが活発な成長期のお子さんは、できれば1日1パックを食べてほしいところです。苦手な子には、納豆をまぐろやきゅうり、とろろなどとからめてもよいですね。キムチ納豆にすると納豆の臭みが消えます(低学年はまだ難しいかもしれませんね)。根気強く、いろいろ工夫してみましょう。

また、ドライ納豆もOK。ただし、ビタミンKは納豆菌に含まれるので、豆腐などの大豆食品に入っているわけではありません。食べられない子は青野菜で補ってください。野菜はゆでてもいためても生でもOKです。

骨を形成するセメントのようなものがカルシウムなら、その柱となる鉄筋部分は「コラーゲン線維」でできています。スポーツなどさまざまな酸化ストレスにより、ホモシステインという物質が血液中に増え、このコラーゲンに傷をつけます。鉄筋に「さび」がつくわけです。さびの広がった鉄が痛んで劣化するように、骨はもろくなっていきます。

そうならないために、さび止めの役目を担うのが、残りふたつの栄養素「葉酸」と「ビタミンB12」といったビタミンB群。これらビタミンB群の摂取が足りないと血液中のホモシステインは増加し、さびがさらに促進されてしまいます。

葉酸はほうれん草やブロッコリーなどの青野菜とレバーに、B12は青野菜と牛肉や貝類、そしてレバー、バナナに多く含まれます。手っ取り早い方法は、ミキサーで好みの味のミックスジュースをつくること。

例えば、葉酸とB12の両方含まれる青汁にきなこと牛乳を混ぜる青汁シェイク。カルシウムやビタミンKの補給も一緒に考えるならば、ゆでたブロッコリー、バナナ、牛乳にきなこや、すりゴマを加えた特製シェイク。ブロッコリーを冷凍しておけば氷代わりにもなります。

さらに、すりゴマは黒ゴマの方が抗酸化力があるので白ゴマよりもベター。親御さんに余裕がないときは市販の青汁などを代替えにしても結構です。ただ、基本は手作りする習慣をつけたいもの。「わが家の骨ジュース」とか「○○君スペシャルドリンク」などと名づけて楽しく取り組んでください。

後編へ続く。次回は11月24日更新予定


プロフィール
虎石真弥(とらいし・まみ)

1975年生まれ。管理栄養士。専修大学アメリカンフットボール部トレーナーを務めた際にスポーツ栄養に興味を持つ。卒業後に香川栄養専門学校栄養専門過程栄養士科へ。女子栄養大学大学院後期博士課程栄養学研究科栄養学専攻修了後、現在は慶應義塾大学大学院博士後期課程健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専攻。帝京大学ラグビー部、東洋大学陸上部長距離ブロックを担当。2校の躍進を支えたスポーツ栄養士として数々のメディアにも取りあげられた。財団法人日本スケート連盟ショートトラック科学スタッフも担当するなど精力的に活動している。

 


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