子どものために大人が実践したいメンタルサポート5ヵ条【前編】

2014年01月19日

メンタル/教育

かつてオシムさんは、日本の子どもたちには、サッカーだけでなく家庭や学校生活でさまざまなプレッシャーがかかっていて、それが大きなストレスになっていると指摘していました。みなさん、あなたの思いがけない一言が実は子どもにとってプレッシャーになっていることをご存知ですか? 池上正コーチに大人が実践したいメンタルサポートをお聞きしました。

構成・文●島沢優子 写真●編集部

※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.23冬号』P117-123より転載


大人が子どもに余計なプレッシャーを与えない

 ごく最近のことです。ある子育て関係の雑誌の編集者から、こんな電話がかかってきました。
「池上さん、大人ができる子どものプレッシャー克服術を教えてもらいたいのですが」

 企画書を読んでから、私はこうお返事しました。「そもそも、子どもに特別プレッシャーのかかる状態を強いる方がおかしいと私は思っています。回答者としてそぐわないかもしれませんよ」

 私たち大人は、子どもによくこんなことを話します。「試練に打ち勝て」「我慢して乗り越えろ」特にスポーツの現場では、指導者も保護者も上から目線で命令しがちですね。ですが私は、小学生のうちはサッカーは楽しいものととらえてほしいと思います。楽しむのに、プレッシャーは必要でしょうか。

 まずは大人が余計なプレッシャーを与えないようにしましょう。少年サッカーの試合を観ていると、大人に強い圧力をかけられた子どもたちはすぐにわかります。自由な発想でボールを動かしたり、思い切ってインターセプトを狙ったりする動きが全くありません。ストレスで思考力がなくなっているため、自分で考えてプレーしていない。生き生きした躍動感のある動きがありません。表情もこわばっていて、笑顔もない。このような状態では力を出し切れません。

 また、そういったチームは失点すると全選手が下を向きます。ひどい場合はたった1点取られただけでそうなります。保護者は「うちの子たちは先制されると弱いんだから」「打たれ弱いんだから」とひ弱さを嘆きますが、実は子どもが弱いわけではないと私は考えます。「そうさせているのはみなさんですよ」と言いたくなります。

 失点しても、大人が「いいよ、いいよ。取り返そう」と明るい声で励ませば、子どもはたった1点のビハインドなど大したことじゃないと思えます。ジェフで中学生のチームを教えていた頃、例えば5点差になっても私のチームの選手は「取り返そうぜ!」「自分たちのサッカーやろうぜ」と声を掛け合っていました。そして、8失点ほどした終盤にようやく1ゴール。選手は飛び上がって喜び、歓声を上げていました。最後までサッカーをするその姿こそ、フェアプレーであり、失点を重ねても折れない心の表れだったと思うのです。

準決勝 新潟県トレセンU-12×茨城トレセンU-12より①

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