ネイマールやロビーニョなどを輩出したサントスFCの育成とは?

2014年06月12日

コラム

遊び心から生まれる即興性

――ブラジルのサッカー選手の育成は何歳から始まっているのですか?

 他のクラブでも同じだと思うが、サントスの下部組織には、プレミリン、ミリン、インファンチウ、ジュベニール、ジニュオールというカテゴリーがある。一番下のプレミリンは12歳からの子どもが40人、13歳以下のミリンには55人所属している。

――つまり12歳からクラブに入ることになる。

 そうだ。

――選抜方法は、年に何回かテストをやっているんでしょうか?

 日々テストはやっている。一度のテストで選ぶような形はとっていない。サントスには4人の常駐スカウトと、その他にたくさんの協力者がいて、ブラジル全土から情報が集まってくる。才能ある選手がいると聞くとスカウトが見に行き、サントスに入る価値がある場合は、来てもらってテストを受ける。有望な子どもを集めて、サンパウロの他の街でテストを開くこともある。

―― 一般的に、ブラジルのスカウトがいい選手を見抜くポイントというのはあるんでしょうか?

 難しい質問だね。それは、スカウトの経験からとしか言えない。彼らは多くの子どもを見てきているから、将来の姿をある程度思い浮かべることができるんだ。

――プレミリン、ミリンとサントスの下部組織が育てて来た代表的な選手は誰ですか?

 ネイマール! (両手を広げて)それ以上の名前は必要ないだろ。ロビーニョ、ジエゴもそうだ。ガンソはもう少し成長してからサントスに加わった。

――ネイマールは子どものときから目立っていたんですか?

 その頃、ぼくはサントスで仕事をしていなかった。でも、彼のプレーは見ていた。ひょろひょろのやせっぽちだった。身体ができていなかったので、彼がいれば試合に勝てるというタイプの選手ではなかった。ただ、技術はずば抜けていた。成長して身体ができてくれば、今のような素晴らしい選手になるとサントスのコーチは見通していた。

――1970年代のサントスの黄金時代、最近ではロビーニョ、そしてネイマールとサントス下部組織出身は、ドリブルが巧い選手を生み出しているという印象があります。そうした特徴のある選手を育てる秘訣があるんですか?

 下部組織出身の選手がトップチームで活躍して〝メニーノス・ダ・ビーリャ〟と呼ばれたのは、3つの世代がある。ひとつは1978年のチーム、ペレたちの時代。そして2つ目が2002年のロビーニョ、ジエゴ、アレックス、エラーノたち。そして2010年。ネイマール、ガンソ、アンドレ、ウェズレイ。伝統は継続していたものの、ロビーニョたちが出てくるまでは空白の期間があった。

――育成体制が整わない時代もあったわけですね。ところで、サントスの伝統とは何ですか?

 ひと言で言えば、即興性だ。技術のある選手を重視する。結果だけを見ると、サントスはいつも強いというわけではない。ただ、チャンピオンになるときは、必ずいいチームだ。

――ジョーゴ・ボニート(美しい試合)。

 その通り。みながしっかりとした技術を持っており、即興性で観客を魅了する。今もその伝統は変わらない。ただ、サッカーは変化するものだ。今のサッカーは技術に加えて、スピードとフィジカルが要求される。伝統を守った上で現代のサッカーに適合する選手を育てなければならない。

――具体的に12歳、13歳以下のチームにおける指導の特徴は? ブラジルの他のクラブと違いがありますか?

 ブラジルのどこのクラブでも同じだと思うが、基本は大切だ。ただ、サントスに入ってくるような子どもは、ある程度の技術はある。基本的なキックはもちろん教えるが、身体の使い方、ポジショニング。そして、試合の流れを読む能力だ。キックの正確性も必要だが、それ以上にサントスでは〝遊び〟を重要にしている。遊び心がなければ即興性は出てこない。教えすぎないこと。失敗してもむやみに叱らないことだ。子どもは傷つきやすいんだ。

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