社会が狂わす“現代の子ども”をサッカーで変えるためにできること

2014年11月21日

コラム

負けず嫌いな子どもが育たない環境

 U12世代での指導キャリアが37年。かつて原口元気(ヘルタ・ベルリン)を指導し、その他にも多くのプロ選手を輩出してきた江南南サッカー少年団(埼玉)の総監督であり、現役の小学校教諭の松本さんは、こう嘆く。

「いまは問題が起きる前に摘み取る管理社会。大人にとってある程度子どもを管理したほうが楽だからです。そのために個性のある子どもが生まれにくい状況があります」

「昔は突出したガキ大将タイプがいて、その子が絶対に負けないという気持ちを見せて周りの子どもを感化していた。それがいまは指導者から、こうやるといいよ、と教わっていて、それができる子どもが優秀とされている」

 子どもが変貌してしまった原因は様々なのだろうが、そんな子どもを預かる側の指導者たち、とくに松本さんのように指導のキャリアが長く、子どもが変貌していく様子を間近で見てきた指導者ほど、直感的にこう感じているようだ。

「だから子どもに頑張らせないと」
「負けず嫌いな子どもを育てないと」

 U16やU19などの日本代表がアジアですら勝てない状況に日本サッカー界全体が危機感を抱いているが、その敗因を精査したときに、選手たちの「覇気がない」「勝ちたいという気持ちが足りない」といった点をそれなりに考慮しなければならないのであれば、事態は深刻だ。

 このまま放置されれば、今後、先輩たちが抱えていただろう課題を克服できないまま中学生や高校生になる子どもの絶対数が増えることは容易に想像できる。

 何か手を打たなきゃならないし、手の打ち方も考えなければならないのだが、ここで指導者たちが、“サッカーの指導”だけをこなしていれば、子どもの内側に熱く眠っているはずのパッションのようなものを引き出すことができるのかどうか、その点を真剣に再考しなければならない段階に来ているのだと思う。

 子どもが技術などの武器を与えられたところで、それを使いこなそうとする本人に負けん気の強さや、相手を打ち倒すだけの気概などが不足していれば、その個人は武器を持たされただけの軟弱な個人でしかなく、その集合体であるチームに勝負の世界を勝ち抜けるだけの力が宿るとは思えない。

「現代の子どもには覇気がない」のならば、それを念頭に置きつつ、「覇気を取り戻す」「子どもの負けず嫌いさを引き出す」指導が当たり前にように行われるようになる必要があるのではないだろうか。

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