流行を模倣してしまう日本サッカー界。求められるのは“ひとつの言葉”に惑わされない指導者の判断力
2015年08月05日
コラム「いま、世界の主流である縦に速い攻撃」。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が日本代表の監督に就任してから、メディアを中心にそういった類の言葉をよく目にするようになった。これは、数年前に「世界の主流であるバルセロナのようなポゼッション」という言葉をよく目にしたのと似たような状況である。こういったメディアが“流行”させたひとつの言葉を切り取って、それを鵜呑みにしてしまうことは、日本サッカー界が陥りがちな悪癖であると、現在発売中の『フットボール批評issue06』(カンゼン)のなかでサッカーライターの西部謙司氏は解説している。
(文●西部謙司 写真●Getty Images)
『フットボール批評issue06 決定力不足の正体』より一部抜粋
流行に左右される日本サッカー界の悪癖
ボールゲームで速攻が有利なのは論を待たない。速攻と遅攻のどちらをどれだけ重視するかの線引きはあっても、カウンターのチャンスをみすみす見逃す手はない。
危惧されるのは、「ハリルホジッチがそう言っているから」「流行だから」という理由だけで、若い選手たちに「縦に速い攻撃」を強要する指導者が続出しないかということである。まさかそんなことはないと思いたいのだが、過去には「フラット・スリー」でオフサイドトラップをかけまくる少年チームや、「バルサのポゼッション」を模倣してポゼッションは高くなったが得点は増えず、カウンターから失点が増すという結果に陥ったチームも実際にあった。
筆者が知らないところでは、もっと多くの〝流行に敏感な〟指導者も大勢いたようなので、ひょっとしたら日本サッカー界の傾向なのかもしれない。
ポゼッションの時代は終わっていない。というより、そもそもポゼッションの時代などない。ボールポゼッションの高さを利用して成功を収めたチームがいくつかあり、それを阻止するために守備を強化したチームがいくつかあっただけだ。従ってカウンターの時代というのも来ない。
カウンターが得意なチームはあっても、わざと持っているボールを相手に渡すチームは見たことがない。ポゼッションもカウンターも、パスもドリブルもセットプレーも全部あるのがサッカーだ。そのどこを強調して、勝つための攻守の流れを組むのかはチームそれぞれの事情による。当たり前だが決めるのは流行ではない。(続きは『フットボール批評06』でお楽しみください)。
⇒ハリルホジッチ監督でも治せない「決定力不足」という病。はたしてその正体は何なのか? また、ブラジルW杯のギリシャ戦、アジアカップのUAE戦、W杯予選のシンガポール戦と日本代表が引いた相手を崩せないのは偶然なのか? この命題を解かないかぎり、日本はアジアでも勝てなくなるだろう。
フットボール批評issue06 決定力不足の正体
【発行】株式会社カンゼン
B5判/128ページ
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
U-22日本代表メンバー発表!【Mirabror Usmanov Memorial Cup 2025】2025.07.22
-
サッカー日本代表メンバー発表!【東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会】2025.07.04
-
U-16日本代表メンバー発表!【CFA PEACE CUP】2025.07.02
-
U-17日本女子代表、アメリカ遠征参加メンバー発表!2025.07.01
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- U-22日本代表メンバー発表!【Mirabror Usmanov Memorial Cup 2025】
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 人生最大の挫折――。本田圭佑がガンバユースに昇格できなかった本当の真相【後編】
- “早熟タイプ”はプライドの高さに注意? “晩熟タイプ”には他人との比較はNG!? 個々にフォーカスした指導を心がけよう!!
- コンタクトプレーを嫌がる子ども?
- 【ユース 体験練習会】GAフットボールクラブU18(東京都)
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- なぜ“石川直宏”は人を惹きつけるのか。今季での引退を決意した“ミスター東京”の少年時代
- 「体を大きくする」「スタミナをつける」にはどうしたらいい? サッカーに生きる食事術を知る
- AGGRE U-12が22年ぶり2度目の優勝を飾る!/2018ロバパンCUP 第50回全道(U-12)サッカー少年団大会