“決定力不足”を問う前に本気で考えたい守備の強化

2015年09月10日

コラム

“最も危険な場所”を空けてしまうJリーグの守備

 件の「決定力不足」を繰り返すメディアを無責任だと批判する理由はここにある。誰がどう見ても守備側の珍プレーともいうべき失策を理由に生まれたゴールであるにもかかわらず、彼らはおよそ100の確率で点を取った側を賞賛することしかしないのだから、たとえアマチュアレベルのミスをやってしまおうが、その選手(およびチーム)が批判されることはなく、ならば次節でもまた同じような類のミスを連続させてしまう。つまり、得点力の向上に資する作業(確かな裏付けを根拠とする批評・批判)を常日頃から怠っているにもかかわらず、いざ代表が点を取れないとなれば例の決まり文句で批判する。
 
守備側が批判の対象とはならず、ゴールのみが賞賛される。たとえばこの場面などはその典型例だ(これから挙げるシーンは、Jリーグ公式HPのハイライト映像でも観られるので、参考までに同映像の該当時間も明記している)。


■J1リーグ 2nd 第2節 サンフレッチェ広島vs松本山雅 18:14~(ハイライト=0:57~)
【ベストゴールノミネート】柏 好文 (広島)
ハイライトのリンク先はこちら


巷に溢れているのは、「(広島の柏が)右足を一閃、ゴール左隅に突き刺した」的な礼賛のみ。信じ難いことにこれが「ベストゴール」にノミネートされる一方で、このゴールを許した松本山雅のDF陣が批判されたという話は寡聞にして知らない。

 この「広島vs松本山雅」で、柏(広島)は、守備らしい守備を一切受けることなくシュートし、点を決めている。次の項で記す通り、ペナルティエリア内にまでズルズルと(無防備に)下がる守備はあり得ない。

 だが、それこそ技術レベルの高いチームとの対戦やW杯での試合となれば、当然のことながら敵は閉めるべき場所を閉めてくる。そもそもパスの出所を徹底して厳しく封じてくる。かりにラストパスを通されても、そのボールを受けようとする敵を潰しに来る。もちろん、最後には優れた技術を持つGKが待ち構えている。(続きは『フットボール批評07』でお楽しみください)。


vol36

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フットボール批評issue07
【発行】株式会社カンゼン
B5判/128ページ
2015年9月7日発売


 

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