“決定力不足”を問う前に本気で考えたい守備の強化
2015年09月10日
コラム現在発売中、『フットボール批評issue07』(カンゼン)の人気シリーズ「守備のセオリーに反するサムライたち」では、イタリア人指導者フランチェスコ・マクリ氏とイタリア在住ジャーナリストの宮崎隆司氏のコンビが“最も危険な場所”を空けてしまうJリーグの守備について徹底検証している。一部抜粋して掲載する。
(文●フランチェスコ・マクリ&宮崎隆司 写真●Mutsuko Haruki)
「いつ、どこで、誰が、どのように穴を埋めるべきであったのか」
代表が点を取れないとすぐに「決定力不足」を繰り返すメディアは、ほとんどの場合、では「どうすればその力の不足を解決できるのか」という具体策を提示・提言しない。無責任とはまさにこのことを言うのだろう。たったひとつの単語だけで片付け、それをもって論評あるいは批評と言えるのであれば、これほど楽な稼業はないからだ。
仮に提言の類があるとしても、それは例えば「サイド攻撃を駆使すべき」「縦に速くだけではなく遅攻も織り交ぜるべきだ」といったような抽象論でしかない。先の東アジア杯の初戦でヘディング2発に沈んだ翌日、「屈強なセンターバックを育てなければならない」との論を目にするに至ってはもはや絶句するしかなかった。
ではどうすべきか。我々の考えは次の通りだ。
言うまでもなく代表選手の輩出源であるJリーグの「守備」を徹底的に分析し、確かな裏付けを根拠に批評し、必要とあらば厳しく批判することで改善を促す。もちろん、巷間よく見られるような「守備のブロックに穴が空いた(から失点した)」という類の曖昧な書き方では意味がない。「いつ、どこで、誰が、どのように穴を空けたのか」と同時に、「いつ、どこで、誰が、どのように穴を埋めるべきであったのか」を具体的に記さなければならない。
その上で、批評(あるいは批判)された選手や監督の側からの反論があれば理想的である。意見は冷静に戦わせてこそ収斂されるからだ。
言わずもがな、守備が強化されれば、それを破ろうとする攻撃の側もスキルを高めるより他なくなる。この相乗効果を生まずして真の意味での向上(得点力の強化、そして日本サッカー界全体の底上げ)はあり得ない。
カテゴリ別新着記事
ニュース
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- U-18日本代表、スペイン遠征参加メンバー発表!
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- コンタクトプレーを嫌がる子ども?
- 人生最大の挫折――。本田圭佑がガンバユースに昇格できなかった本当の真相【後編】
- サッカー日本代表メンバー発表!大橋祐紀が初選出【FIFAワールドカップ26アジア最終予選】
- 【第37回全日本少年サッカー大会】秋田県大会 決勝レポート「経験生かした試合運び見せたスポルティフ秋田が粘る勝平を振り切り3連覇!」
- 【第40回全日本少年サッカー大会】初の決勝T進出を果たした鳥取KFC。3年前の経験を通じて変わった子どもたちの成長/ジュニサカ取材日記
- 柴崎岳はなぜ一流になれたのか? 青森山田高・黒田監督「彼はバスの移動中の時間も無駄にしない」
- 補欠問題、団子サッカー、8人制サッカー、ドリブルスクール…etc。ジュニアサッカー特有の現象はなぜ起こる?
- 「早熟」の基準とは何か。子どもたちの成長につなげる指導者の役割とは