サンフレッチェ広島・森保一監督が語る“非カリスマ型マネジメントの極意”「監督の仕事は『観る』ことから始まる」

2015年11月27日

コラム

TOKYO, JAPAN - DECEMBER 29: Hajime Moriyasu, coach of Sanfrecce Hiroshima during the 93rd Emperor's Cup semifinal match between FC Tokyo and Sanfrecce Hiroshima at the National Stadium on December 29, 2013 in Tokyo, Japan.  (Photo by Masashi Hara/Getty Images)

1人の人間として選手個々の成長を観る

 サッカー選手を「観る」というのは、ピープルウォッチングとは少し違うかもしれません。まず、自分がやろうとしていることを選手に伝え、それを選手ができているかどうか、サッカー選手としての技量を主に観ていかなければいけないからです。

 選手を観て、「今日は調子がよさそうだな」「顔色がちょっと悪いな」「彼女と喧嘩でもしたのかな」みたいなことを感じ取ることはあります。ただ、それは顔色をつぶさに観てピープルウォッチングをしているわけではありません。そういった神経質なものではなく、自然と気付くという感じです。

 選手と監督・コーチは、練習場やスタジアムで毎日、顔を合わせます。その意味で、クラブチームは「家族」に近い。約束をして、待ち合わせをして会うわけではなく、練習場に自然と集まってくる。家族が家に帰ってくるのと同じで、それが当たり前という感覚なのです。

 家にいるとき、家族の様子をジーッと観察はしませんよね。でも、「あれ、何だかいつもと違うな」と気付くことはあるでしょう。そういう捉え方なので、ピープルウォッチングとは別物です。

 もし、こちらが観察の姿勢で肩に力を入れて選手たちを観ていたら、向こうにはそれが伝わるだろうし、「観られている」という緊張感を与えてしまって、空気がおかしくなってしまいます。でも、選手個々に目を向けてあげるのは、監督としての僕の義務でもあります。

 観られていない選手がいたら、「なぜそれで評価できるの?」と不満を感じてしまいます。「観ていないくせに」。そう選手に思わせてはいけないのです。僕は広島の監督に就任したとき、選手たちにこう言いました。

「まずは1人ひとりが、個のレベルを必ず上げること。そこでチーム力を上げたい」

 僕は監督としてではなく、1人の指導者として、1人の人間として、選手個々の成長をちゃんと観てあげられるようにしていこうと思っています。


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⇒J1リーグ2連覇を果たしたサンフレッチェ広島の森保一監督が明かす指揮官の極意。育成型クラブのかじ取り役を担う森保監督が綴るチームマネジメント術と監督業の真髄。
 

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