「もう外国から学ぶ時代ではない」川崎F・風間八宏監督が語る日本サッカー“真・技術論”
2016年01月17日
コラム日本の選手がボールを奪えない理由
――守備について聞かせてください。日本は守備で頑張るものの、なかなかボールを奪えない印象があります。何が課題でしょうか。
「一般的に選手はグラウンドを360度見なければならないというイメージがあるかもしれませんが、それはほぼ不可能です。では、なぜ360度見えているかのような選手がいるのか。それは守るべきゾーンを限定して、他の場所からは目を切っているからです。ボールと敵・味方の位置から、パスが出てこないエリアを見極めて、見るべき場所を絞るということです」
――その取捨選択が守備のセンスなわけですね。
「小学生のときから、その感覚を養うべき。プロであれば1人で15メートル四方の距離を守ることができると思います。大学生なら数メートルでしょうか。そのためには選手同士がどう立つかが重要になってきます。死角を作らない立ち位置、体の向き、細かいこと
が大切になります」
――たとえば?
「すごくシンプルに言えば、縦パスを入れさせないのであれば、横に並ぶのではなく、斜めに立つ方がいい。横に並んだら2人によって作られる『門』が広くなってしまいます。そうなると、いくら速く動いてもパスを通されてしまう。一方、斜めに立てばそれが狭められる。もしそれがうまくいって相手のパスコースがなくなったら、こちらがボールを奪いに行くチャンスが生まれます」
―― 10月のイラン戦後、ハリルホジッチ監督が「(米倉恒貴は)試合スタート時は相手から少し遠い距離で守っていた。もう少し近づくように言ったが、なかなかできなかったので、もっと自分のゾーンでしっかり(相手に)付いてくれという話をした」と指摘していました。距離を取って簡単にやられてしまう、というのは日本の守備の課題のように思います。
「当然のことですが、相手と4メートル離れていたら、ボールを持っている相手と直接勝負できないですよ。ではその場合、守備者はどこと勝負するかといえば、相手が次にやろうとすることを読んで勝負すればいいんです」
――読んでパスカットすると。
「それには背後のどこに相手がいるかを感じないといけない。当然、頭の後ろに目はついていませんから、ボールホルダーの考えていることをいろんな情報から瞬時に読み取ることも大切です。そして背後を把握することができれば、わざとコースを開けておいて、パスを誘ってカットするということも可能です。一方、もし1メートルの距離まで近づけた
ら、絶対に逃がしてはいけない」
――日本の選手はボールを持っている相手に近づいても、奪いに行かない印象があります。
「勝負するタイミングが見つけられないからだと思います。たとえ足が速くても、ここだというタイミングが見つけられなければ詰められない。言い換えれば、相手がパスを出せるときは後ろと勝負してコースを消し、目線が落ちたりしてパスを出せないときに一気に詰める。いつパスを出せないかを見極められる選手は、ボールを奪うのがうまい。こういうことを理解できれば、普通に守備をできるはずです」(続きは『フットボール批評09』でお楽しみください)。
⇒サッカー人気に陰りが見える今こそ、サッカーの原点や本質、根源的な魅力や楽しみ方を思い出し、気付かせてくれるような企画をこれでもかと散りばめました。「サッカーはつまらない」なんて言わせない!
フットボール批評issue09
【発行】株式会社カンゼン
B5判/128ページ
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