「もう外国から学ぶ時代ではない」川崎F・風間八宏監督が語る日本サッカー“真・技術論”

2016年01月17日

コラム

1番大事なのは「個人をしっかり見ることができるか」ということ

――技術については、何を見直せばいいでしょうか。

「普通は、ゆっくりなものから速いもの、広いものから狭いものという順序で、難易度の段階を上げていきます。もちろん間違いではないのですが、一番大事なのは個人をしっかり見ることができるかどうかということ。それは技術の根本的な部分をしっかり捉えることができるかということです。たとえば、動きながらボールが止まらないというときに、何が必要なのか。止める・蹴るという動作を、いきなり動きながらやらせるのもいいですが、何より必要なのは『体がブレない』ことです。体がブレない走りをできなければ、動きながらボールは止められないんです。そういう認識があれば、『まっすぐ走れるようになるために、ドリブルからやってみようか』となる」

――なるほど。

「次は足のフィーリング。足のどこがクッションになって、ボールがどう回転するのかを体で覚える。そして次はステップを踏めるか。コーンを並べて規則正しく踏むステップとは違いますよ。どんなボールが来ても対応できるように、自在にステップを踏めるようにしなければならない。狭い中でゲームをやると、そういう動きが身につきます。技術を細かく砕くと、どんな練習をすべきかという答えが自ずと出てきます」

――走りながら止められないのは、体の動かし方・走り方の技術が足りないというわけですね。

「ボールを触ったときにそのまま体がついていく選手は、走りながら止められる。それに対して、体重を1回後ろに乗せてからしか前に出られない選手は、出遅れて止めづらくなる。指導者はそういう小さな差を、どこまで見極められるかどうか。指導者がきちんと見て認識させれば、必ず子供は変わりますよ」

――止めて・蹴るというと立ち止まった状態をイメージしますが、風間さんの場合、動きながらも含めての止める・蹴るということですね。

「当然です。もっと基本的な話をすれば、よくボールを止める場所を見つけろというけれど、そもそもボールを正確に蹴れないとそれも見つかりません。パーフェクトに蹴ることができなければ、止めるべき場所なんて存在しないんです」

――では、どんな練習からスタートするのですか。

「止めることを教えるときに、まずノーステップで蹴らせる。ボールが一番飛んだ足の部位、一番当たって気持ち良かったところを覚えさせる。それからキックの練習に入る。そうすると自ずと置く場所が決まってきます。加えて、試合になったら、頭の技術が必要になる。そこには目が関係してくる。何が見えるか、どう見るのか。サッカーはボールを扱う技術、体を扱う技術、頭を扱う技術、この3つのひとつでも欠けたらダメです」

――まさにサッカーにおける心技体ですね。

「頭を動かす技術がなかったら、体は動かない。一方、発想が増えれば、技術も伸びる。頭が止まると、いくら技術の練習をしても、意味のないものになってしまう」

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