子どもの引っ込み思案は改善できる?! 臨床心理士が語る「やる気の育て方」

2016年04月11日

メンタル/教育

子どもにやる気を出させるにはどうしたらいいのか? 引っ込み思案の子どもはどう改善したらいいのか? 臨床心理士の松島雅美先生の言葉に耳を傾けます。

(文●木之下潤 写真●編集部)

ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.36』より一部転載


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自己肯定感としつけがやる気の土台を育てる

――なぜ子どもは引っ込み思案になっていくのか。その理由から教えてください。

 そもそも子どもは自分の存在を認められたいものなのです。ただ、日本人は他国の人に比べると、極端に自分への満足度が低い(データ2参照)。これには「自己肯定感」がかかわっています。簡単に説明すると、自分の行動がうまくいこうがいくまいが自分で責任をとれるということです。つまり、「自信」とつながることなのです。

 例えば、自信がなくなると、自分を見せたくなくなります。「怒られるんじゃないか」「嫌われるんじゃないか」とそんな心理が働くと、どんどん行動が引っ込んでいく。自信がある子どもは成功や失敗に関係なく、思った行動ができるでしょう。あれは自分への満足度が高い証です。でも、日本人はあまり新しいことにチャレンジする性格ではありません(データ3参照)。

 引っ込み思案の子も多いと言います。でも、それは表現の仕方を知らないだけです。1対1なら話はできるし、大部分の子どもは「本当はこうしたい」という思いを必ず持っています。むしろ、頑固なほどです。

data2・3

――どうすれば変えられるんですか?

 まず、成功体験を作ってあげることです。人間は一つの成功が自信に変わります。成功体験をすると、それをもう一度味わいたいから「もっとやりたい」に変化します。引っ込み思案の子も自信を失ったわけではありません。単純に、子どもたちはどうやったら物事がうまくいくのか、その方法や解決策を知らないだけなのです。

――よく小さな成功の積み重ねが子どもの「やる気」につながると言いますよね。

 先ほど「自己肯定感」とお伝えしましたが、まさに「やる気」につながっています。

――否定的なことを言うのは避けるべき?

 いえいえ、ダメなことはダメとはっきり伝えるべきです。人間は一人で生きているわけではなく、たくさんの人とかかわり合いを持ちながら生きています。どんな子も社会生活を送って生きていくわけですから。ただ、子どもは社会のルールとか、人間としてのルールとかを知らないから教えないといけない。それが「しつけ」です。

「自己肯定感」と「しつけ」は表裏一体の関係です。他人とのかかわりを持つことは他人との境界線を知ることです。そこさえ越えなければルールを守っているわけだから、自分の興味があることはどんどんやっていい。大人は、子どもが進んでとった行動をうまくいくようにサポートして「やる気」を育ててあげたらいいのです。

 心理学の世界では、3歳までに「自己肯定感」の土台を作り、3~6歳までに「しつけ」を教えるとよく言われます。スタートは早いに越したことはありませんが、何歳から始めても十分にやれます。

 つけ加えると、「自己肯定感」はお母さんやお父さんに抱っこしてもらったり、話しかけてもらうことで「自分は大切な人間である」という気持ちになって育まれます。

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