バスケットボールから読み解く攻撃戦術のヒント。守備ブロックを崩す“アングルチェンジ”とは

2016年09月30日

コラム

念願のプロリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」が開幕し、脚光を浴びるバスケットボール。バスケットボールといえば、NBAなどで長身の選手たちが見せるド派手なプレーが魅力のひとつとして知られているが、実はバスケットボールの攻防における戦術や戦略は多彩で、サッカーのプロ監督でも参考にしているケースが少なくない。サッカーでも強豪校として知られている市立船橋高校のバスケットボールの指導にあたっている近藤義行監督の言葉から考える。

(文・写真●鈴木康浩)

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.39』より転載


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DFがアングルを変えた、その瞬間がチャンス

 サッカーと同じボールゲームながらコートサイズが狭いため、自ずとゴール前での攻防が多くなるバスケットボールの攻撃や守備の戦術はより緻密で、多彩だ。Jリーグで指揮をとるプロ監督にもバスケットボールの戦術を攻守に取り入れている者が少なくない。この企画では、とりわけ、バスケットボールの攻撃戦術に耳を傾けながら、いかにサッカーのゴール前の攻防に応用できるかを考えてみたい。

 お話を伺ったのは、全国大会出場の常連である市立船橋高校男女バスケットボール部の近藤義行総監督だ。近藤先生は今年出版した『バスケットボール 基本と戦術』(実業之日本社)に攻守の戦術を詳細に綴っている。ヒントになるものはあるだろうか。そんな期待を胸に市立船橋高校を訪ねた。

「先生はサッカーをご覧になりますか? 特にゴール前の攻防で感じることはあるでしょうか?」冒頭にそんな質問をさせてもらうと、近藤先生からいきなり興味深い回答があった。

「サッカーはよく見ます。そのときにサイドチェンジが少ないような気がしているんです。もちろん、コートが広いから難しいこともあるかもしれませんが」

 それはまさに、サッカーの日本代表が自陣ゴール前を固めて守備をするアジア勢に苦戦するときの課題そのものだ。なぜ、サイドチェンジが必要なのか。近藤先生がバスケットボールの3対3で説明してくれた。

「サッカーにはFWの選手のポストプレーがありますが、バスケットにはローポスト(図1)を使ってオフェンスがボールを受けるシーンがあります。このとき、相手のディフェンスがオフェンスの選手を二人で挟んでディフェンスをすることがあって、このときにオフェンス①へのパスは出せないので、サイドへボールをふるとシュートチャンスが生まれます(図2)。このときに相手のディフェンスが守るために前へ出てくると、今度はリング側のポストが空いてくる。そこにパスを出せばゴールチャンスが生まれる。この一連の流れを『アングルを変える』というんですね。これはサッカーでも同じことだと思います」

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ローポストに入った味方に対して、相手のディフェンスが前へ出て壁をつくり、さらに背後を挟んでディフェンスしてきた場合。これでは味方のオフェンス①にパスはできない。

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サイドを変えて「アングルを変える」ことでオフェンス①と、その前でボールを奪おうとしていた相手ディフェンスの状況が変わる。オフェンス①にとってリング側のポストが空く。

 もちろん、サッカーにはオフサイドがあるので気を付けないといけないが、ディフェンスのアングルを変えたときにチャンスになる原理原則は同じことだ。

「ディフェンスがボールを追って身体の向きを変えた、その瞬間がチャンスになるんです」

 図2でいえば、シューターにディフェンスがアプローチにいくために身体の向きを変えた瞬間がチャンス。アングルを変えたことでオフェンス①の背中についていたディフェンスは背後がケアできなくなり、もう一人のディフェンスも一歩後手を踏む。

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