悲劇を繰り返さないために――。インターハイベスト16の強豪・大阪学院大学高校の選手権予選棄権の真相
2016年11月07日
コラム改めて問われる開会式の意義
今回のケースで考慮すべきは、そもそも「開会式は必要なのか?」という点だろう。全国規模で見ると、立地的な問題や日程の関係もあり開会式を行わない都道府県のほうが多数派だ。高校野球を例に見ると、同じく大阪府の高野連の場合、「抽選会の欠席は棄権扱いだが、開会式の欠席を棄権扱いする規定はない。学校によってさまざまな事情があるので」と、産経新聞の取材に答えている。
また、関係者への周辺取材で、選手権予選の開会式だけでなく、府のリーグ戦でも監督会議やミーティングに不参加、遅刻の結果、リーグ戦に出場できない高校もあるという例も明らかになった。もう1つ興味深いのが、保護者会からの嘆願書を受け、選手権参加校に大阪学院大学高校の参加の可否を問う書類が存在するとの声も聞かれたことだ。
今回のケースでは、なぜ救済処置が行われず、不参加が決定したのか。大阪高体連に質問をぶつけたところ、開会式の意義、他校に救済措置の是非を問う書類について下記の通り回答があった。
Q :開会式への参加義務についての意義は?
A :「もともとは15名の参加を義務づけておりました。現在は7名以上ではなく11名の参加です。試合に参加するのは、7名以上で成立というルールの下に、試合人数がそろわないところも最低7名以上としています。大阪の高校サッカー220チームが集まり、強豪チームから、人数ぎりぎりのチームまでが全チームがそろって、歴史ある大会に参加していることの実感を体験して学び取ってもらいたい。(中略)本年度については、大幅なルール改正もあり、顧問及び選手への周知調査を図る機会にも利用。大阪の公共機関の利便性から、全チーム参加については、他県と比べて、比較的実施しやすい。現在、19名の専門委員の先生方が多く集まって、高体連サッカー部として1年に1度行事を行う機会としても利用している」
Q :嘆願書を受け、大阪学院大学高校の選手権予選の参加可否を判断するために、予選参加校にFAXを送ったというのは事実か?
A :「該当アンケートについては、教育長が3万5千人からの嘆願書を受けて、各校の意向を確認するために、アンケートを取ったと聞いております」
高体連の主張としては、200を超える膨大な参加校が確実に集まる機会を有効活用し、講習会、交流の場として今年は利用した。大阪は交通機関の利便性の観点から、他都道府県と比較しても、開会式の実施のハードルは高くないというものだった。そして、教育委員会の意向もあり、改善と各校の意見を参考にするための書類があったという事実も認めている。
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