ボールが完全に静止していなければ、それはミス。風間八宏監督が語る「止める」の定義
2017年05月08日
コラム技術論を感覚のまま放置しない。感覚を感覚でなくすために言語化する
プロの選手がボールを止められないわけはない。ただし、「本当に止まっているのか」といえば、実はそうでもない。風間さんと同じ方法で止めるのが合理的だとしても、いままで違う止め方をしていた選手には違和感がある。だから上手くいかない。では、風間監督はなぜわざわざ選手が失敗しそうな止め方をさせるのか。
「認識、実行、成功ですね」
風間監督の指導の核心部分だ。感覚でプレーしていた選手たちに、まず新しい認識を与える。「止める」でいえば、足の一点でボールのオフスイッチを触るのが最も良い止め方であるということを知らせる。そして実行させる。それで成功すると、技術に対する見方が変わる。「止める」は最短時間での「蹴る」につながり、その時間の短縮がプレーのスピードを生む。また、何が止まっている状態かをチームで共有することで、タイミングを共有できるようになる。風間さんはこれを「目を合わせる」と呼んでいる。
まず認識。実行して成功するまでの時間には人によって差がある。成功が見込めない人もいるかもしれない。ただ、風間監督はそれで構わないと思っているようだ。
「チームのキーになる選手には身につけてもらいたいけど個人差はある。センターバックの選手なら、少しボールを離してしまっても仕方がない」
大事なのは感覚を感覚のまま放置せず、いったん言語化すること。それによってさまざまな気づきが生じる。そして、言語化して認識したものを再び感覚へ落とし込む。認識→実行→成功を手助けするのが風間監督の仕事であり、指導者としての真骨頂なのだろう。
「自分が止め方を意識したのは大学生のころでした」
風間さんは自分で発見しているので、当然ボールのオフスイッチがどこかは感覚的に捉えられた。風間さんに教えられて始める選手は、感覚をつかむまでに相応の時間はかかるだろう。けれども、教えられなければ知らないままだったかもしれない。
実際、佐藤寿人のようなベテランの大選手でも「知らなかった」という。若い選手にとっては、止め方を発見するまでひょっとしたら10年かかるか、知らないままで終わるかもしれないことを風間監督が教えてくれるというのは明らかにメリットである。
また、たとえ自分がそのとおりにできなくても、チームメートができるなら、「いつ」が青信号なのかタイミングを共有することは可能になる。
技術を定義する。止めるが定義されると、他の事柄も定義されていく。サッカーそのものが定義づけられていく。逆にいえば、止めるがあやふやなら全部あやふやになる。何も決まらない、定義のないサッカーになってしまう。
「技術論というと、皆さん感覚だと言うけれども、感覚を感覚でなくすことが大事。最後はもちろん感覚になりますけど、明確にしておくことです」
風間さんと同じ方法で止めることを要求はする。けれども、形は同じでなくても構わない。明確にはするが、要は結果が同じならいい。
続きは、技術解体新書 サッカーの技術を言葉で再定義するでご覧ください)
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