コーチングとは「その人が行きたい方向に進むのをサポートすること」。“発問指導”のスペシャリストが語る子どもの自立を育む秘訣とは

2017年06月02日

インタビュー

発問指導とは、子どもたちに質問をなげかけ、子どもたちの自主性を育む指導のことです。子どもはサッカーがうまくなるために練習をし、そのために指導者はたくさんの言葉を発します。しかし、その言葉が効果を発揮していると言いきれますか? また、サッカー少年・少女を子に持つ保護者は、子どもに「こうなってほしい」思うばかりに、子どもを行動を言葉でコントロールをしすぎていないでしょうか。今回は、しつもんメンタルトレーナーとして活動する『発問指導』のスペシャリスト・藤代圭一さんに子どもたちの自立を育む秘訣を教えてもらいました。

(取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部)

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.44』より転載


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コーチングの世界観が広がった先生のある”言葉”

――まず、発問による指導をしようと思ったきっかけは何だったのですか?

 もとはサッカースクールのコーチをやっていました。当時は私の経験不足があり、『できないことをできるようにする』という指示命令が絶対的な指導方法でした。運営面も管理を任されていたのですが、どんどん会員が減っていました。『何が原因なのか』。独自に様々な本を読み、いろんな人に話を伺う中で、ある本に『コーチングとは、その人が行きたい方向に進むのをサポートすることである』と書かれていました。私は選手をここまで行かせたいからと、自分が引っ張り上げていたことに気づきました。その時、これまでの考え方を180度変えなければいけないと思ったんです

――そこから勉強される中で、師と仰ぐ先生に出会うわけですね。

 はい、マツダミヒロさんです。様々な方のセミナーに参加し、何か違和感を覚えました。それは『あなたには絶対必要です』と、教材や次のセミナーをさらに勧められることでした。でも、マツダさんは『もし必要だと感じたらどうぞ』という感じで、僕自身の選択肢を奪わない接し方にさりげない優しさを感じさせてくれたんです。これってコーチングなんですよね。マツダさんとの出会いをきっかけに一から学び直し、再びスポーツの世界に生かそうと考えました。それが今活動する『しつもんメンタルトレーニング』につながっています

――なるほど。それでマツダミヒロさんのもとで勉強されたわけですね。

 勉強といっても、何かを教えてくれるわけではありません。そばにいて見聞きし考える。ずっとそれの繰り返しです。そもそもマツダさんからは質問しか受けませんから。『今日はどんな話があったか』『どんなことに生かせそうなのか』。考えざるを得ないですよね。学術的な背景から見ても、自分で考える、自分で選択して進むことはやる気と行動が伴うものなのです。私の経験から言っても『自分で選択する』というきっかけを作ることが重要なんです

――発問指導を行う中で、そのコーチングに確信を持ったエピソードはありますか。

 2年半関わったある4年生の子がいたんです。その子はチームで一番技術が高かった。当然、チームメイトにはダメ出しすることがほとんどでした。私は『もっと優しく伝えよう』『言い方を工夫しよう』というようなニュアンスのことを言っていたんです。もちろんすぐに変わったわけではありません。『自分ならどんな言い方されたら嬉しいかな』『どんな時に傷つくかな』『どんな時に嬉しいかな』。事あるごとに一対一ではなく、みんなで話し合う時間を作ったんです。グループで話をすると『自分とはまったく違う考え方の人がいる』ことに気づく。例えば、自分は頑張れと言われると嬉しいけれど、ある仲間からすると頑張れと言われると『頑張っていない』と言われているようで嫌に感じる。最初は 『えっ?』と思うんですが、そこから工夫するんです。子どもは心身が発達する時期なので時間はかかります

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