コーチングとは「その人が行きたい方向に進むのをサポートすること」。“発問指導”のスペシャリストが語る子どもの自立を育む秘訣とは

2017年06月02日

インタビュー

発問指導においていちばん重要なことは”信頼関係”

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――気づくことが大切だと。

 私はさらに気づく前の段階があると思っていて、感じることが大事だと考えています。『相手がどう思っているんだろう?』と感情的な観点で思いやるから気づきが生まれるんだと思っています。そうすると、人の話を聞ける姿勢ができる

――確かに人の話を聞ける姿勢が整っていないと、自分に気づきは生まれません。

 人の話を聞く姿勢を作っておかないと、いくら質問を投げかけたところで鍛えようがないんです。むしろその姿勢ができていない時に『自分だったらどんな言い方されたら良くなるかな』と言われると、批判されているように感じてしまうんです。そこには関係性が必要になってきます

――人と人との信頼関係が重要ですね。

 ある時、私のセミナーに来ていたコーチからこんな話を聞きました。その指導者は指示命令をやってきた方です。『問いかけることで選手たちを導いていく方法は素晴らしい。私も変えてみます』と。次の日、子どもに『どうしたらうまくやれると思う?』と質問したら『どうしたの?いつもと違う。変』という顔をされたそうです。今は笑い話ですが、まずはお互いに信頼関係がなければどんなに手段を変えても通じません。サッカー指導でも同じことが言えると思うんです

――やはり通じ合えるようになるまで、やり続けるしか方法はないですか? 

 基本的にはそうです。ただ指導者、大人も間違っていることはあるし失敗することはあるから、それを正直に言うのも一つの手です。これまではこうしていたけれど間違っていた。これからはこうしていこうと思う、と。子どもたちは気配を悟るのが上手なので、急に変わると疑いの目を持つのは確かです。少しずつがベストですが、器用でない方もいるので正直に伝えるのもありなのではないでしょうか

――子どもに対しても、指導者側が本音で付き合う必要があります。  

 人と人との付き合いだから“正直”がいいと思います。コーチが謝らなければ子どもも謝らなくなる。もちろんタイミングによっては強制的なやり方が効果的な場合もあるかもしれません。ただ今の時代、そのやり方が現実的に難しくなっています。これまでは大人だからと通用していました。でも、それでは今の子どもたちはやる気をなくすことがほとんどです

――子どもは自分に対してどれだけベクトルを向けてくれたのかを気にします。  

 ある高校のテニス部の監督に『どうすれば選手が主体的に行動したくなりますか』と質問しました。その高校の練習は、各部員が別々の練習メニューを行うそうです。そして練習後にフィードバックするときには各自にメモを渡す。卒業生に話を聞くと、こんなに私のことを見てくれているんだと感じるから、それに応えたくなるそうなんです。選手は気にかけてもらえていること が支えになるから、それを見せることは非常に重要なことです。すべての場面で平等にはいきませんが、一人ひとりに向けて言葉を発することは大切だと思います

――性別による違いはあるんですか?

 女の子の場合、特別扱いはダメです。一人の選手に『スペシャルな選手だね。ちょっと別メニューにしよう』とすると、その子が攻撃される可能性があるんです。ひいきせず、同じ分だけ関わり合いを持つことがいいとされています。男の子でも女性的な子もいます。だから、やはり均等と言うよりは“公平”に接することです

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