サッカーの指導中に『怒鳴る』必要はあるのか?
2017年06月20日
コラム
本当に『今日の試合に勝ったほうがいい指導者』なのか?
――枚方FCのスタンスは、ずっと変わらないものなのでしょうか。
クラブ創部以来、変わりませんね。大原則は、子どものうちに技術を身につけておく必要があって、大人になってからでは間に合わないということ。スタミナや走力は後からでも身につくものですが、技術面はジュニア年代が勝負です。
その指導のなかで、怒鳴りちらすコーチは基本的にはいません。低年齢では勝負にそれほどこだわっていない部分があるので、物足りない親もいらっしゃるかもしれませんね。しかし小学生高学年、中学生年代になってくれば、徐々に技術の差が見えてくる。(枚方FCは)そういう実績があるから納得してくれている方がいるのだと思います。
――枚方FCに怒鳴りちらす指導者が入ってきたことはないのでしょうか?
OB以外でそういうコーチが入ってきたことはありますよ。結局うちの子どもとは馴染みきれなかった感じがします。そういうコーチが入ると、一時的に強くなったりするんです。
保護者としても、子どもに厳しくしてチームも強くなれば、それが理不尽であってもうれしくなってしまうもの。しかし、その先が伸びない。最終的にはそのコーチを受け入れられませんでした。残念ながら彼にとっては子どもをうまくさせることが一番ではなくて、子どもは自分のパフォーマンスのためのツールだったのです。勝ったら『俺がやってやった』と。自分の結果を出したい人ほど、そういう傾向になりがちです。
――怒鳴る指導者と怒鳴ることについて話をすることもありますか?
話せる場面があれば『そこまでせんでええんじゃない』という話はします。でも、その場では『はい、そうですね』とは言うけど、本当に聞いてはいません。むしろ『これが俺のスタイルや』と思っている方が多いのかなと。うちとの試合で勝利でもすれば、怒鳴って勝った指導者からしてみれば、『うちは枚方に勝ったやないか』となる。そもそも『試合に勝ったほうがいい指導者』という意識があるので、話をしてもなかなか通じない。それは残念ですね。
もちろん途中で変わっている方も少なくありません。高校の先生でも、昔は怒鳴ってばかりだったが、年を取って丸くなった方もいます。長年指導を続けてきてわかってきたということもあるのでしょう。
――とはいえ、指導者が「わかる」までの子どもは犠牲者になってしまいますよね。
『昔は俺も若かった』と笑い話のように話す指導者もいますが、それは冗談じゃない。その指導者は、当時の子どもに対して申し訳ないという考えはなくて、『俺はこれだけやってきた』という自己満足的な武勇伝でしか考えていない。選手にどうしてあげようかということが先になくて、自分ありきでしか考えていない方は、指導者として認めたくないなという気持ちになります。
――これから指導者になる人たちに考えてもらいたいことはどんなことでしょうか。
指導者になる方に何を考えてもらいたいというよりは、子どもをうまくするという気持ちがないのなら、指導者にならないでくれという思いです。そういう方には、日本サッカーのために指導者になってくれるなということですね。子どもが大好きで、うまくしてあげたいという気持ちがあったらぜひなってもらいたい。そういう気持ちを持っていることが大切だと思います。

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