「選手にとっての経験」だけで済ませていいのか。5回目の『ワーチャレ』で見えた、指導者が本気で向き合うべき“日本サッカーの課題”
2017年08月30日
コラムバルサには競争の中にもプレー機会は平等にある
バルサの選手は大会中に大きな成長を遂げる。
例年、開幕時にはピッチの幅を使ったビルドアップがスムーズに行うことができないし、バルサ対策としてハイプレスをかけてくる日本のチームに苦戦を強いられる。監督が11人制サッカーでのバルサの戦い方、特にポジショニングとスペースの使い方を試合の中で教えながら選手はミスと修正を繰り返して成長していく。だから、大会の初日と最終日では別のチームに変わっている。
余談だが、今年のバルサは選手のクオリティという点では例年より少し劣っていた。監督のダビド・サンチェス・ドメネもそこは認めている。しかし、それでも彼は全選手にプレー機会を平等に与えながら優勝という結果をきっちり残した。一定以上のクオリティが選手に備わっていたとしてもチームが始動して1週間足らず、また高温多湿の日本の環境を考慮すると、指導力に差があることは結果が実証している。
一方、大会中に「日本のチームが目に見える大きな成長を遂げたか」と問われたら思い当たるクラブは浮かばない。もちろん成長はしているが、初日にインパクトを受けるチームの方が多い。日を追うごとに選手の体力が低下し、初日よりサッカーの質が明らかに落ちている。
その原因は2つある。一つは“プレー機会の不平等さ”だ。バルサの選手はどの試合も全員が出場機会を与えられる。しかも複数のポジションを経験する。シーズンスタートとあって、バルサにとってはこの大会がプレシーズンマッチでもあるため、いろんな選手を様々なポジションで試し、選手の特徴と適性を図っている段階だろうが、だったら尚更バルサのそういう部分の育成も見習うべきだ。
いまだJクラブをはじめとする日本のチームは決まった選手しかプレー機会が与えられない。
「これもサッカーだ」
「出場した選手は出場できなかった選手の思いも背負っている」…etc.
負けた時にだけ、大人が子どもたちに“日本人の美徳を都合のいい武器としてかざす”のはもう止めて、もっと侍らしくサッカーによる解決のやり方でもバルサに食い下がってみてはどうだろうか。プレー機会の不平等さは今大会だけでなく、1週間前に開催されたフットサルの全国大会『バーモントカップ』でもほとんどのチームに見られたことだ。
多くの監督とコーチが当たり前のように「プレー経験が大事だ」といい、「ミスを修正することが成功につながる」とわかっているのに、大人が子どもに経験の機会、ミスを修正して成功体験を積ませる機会をつぶしてしまっている。体験ではなく、経験として次のステップにつなげるためには、行き当たりばったりのコンセプトのない指導では選手が成功しても失敗しても理由がわからない。だから、同じことを繰り返すのだ。
体験でいいのならベンチに座っている体力とやる気に満ちた選手もピッチに立たせるべきだし、バルサを相手に力の差を感じ、体力の低下とともにモチベーションの下がっているレギュラークラスの選手よりも控え扱いをされている選手の方が高いモチベーションと有り余った体力を持っているはずだ。そういうところもバルサと戦う機会を得たのに経験として積み重ねられない一つの原因ではないだろうか。
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