チーム内の「レベル差」どう解決?現役コーチの「仲間」を意識した指導の秘訣

2017年10月26日

コラム

ジュニアサッカーの現場にはさまざまな疑問や悩みがつきもの。ここでは指導者から保護者の方々、そしてこどもが抱くものをファンルーツの指導者たちがアドバイスします。今回は”レベル差”があるチームの指導法について1つの疑問を解決します。

(再構成●ジュニサカ編集部 写真●松田杏子)

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.34』より転載


Q

チーム内のレベルはさまざま。どんな指導がいいでしょうか。


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「レベル分けをせず、仲間と同じ立場でプレーをさせること」

 このチーム状況は、トレーニングを行う上で、コーチを悩ますケースです。確かにチームの中の優秀な選手が、もっと違う、レベルの高い環境でプレーすれば伸びるはずなのに、伸び悩んでしまう、モチベーションが下がってしまうケースもよくあります。理想では、うまい選手は上の学年でプレーすることです。とはいっても、フィジカル面などを見極めた上でのことです。実際、欧米のクラブなどでは、そのようにレベル分けを行っています。特に日本の場合、小学6年生が中学生チームで練習や試合を行う環境は、クラブ組織でない限り、難しいのが実情です。

 では、どのように対処すればいいのでしょうか。まず、クラブ内でレベル分けをするのではなく、ほかの仲間と同じ立場でプレーをさせることも、ジュニアサッカーでは必要なのではないでしょうか。そのような環境により、「仲間を思いやる心」や「仲間と協力をして物事を遂行する」などのメンタル面の効果を得ることができます。サッカーだけを考えた場合は、レベル分けをすることも一つの方法かもしれませんが、ジュニアサッカーにはそれ以外の目的も多く含まれているからです。

 このさまざまなレベルの選手が混在する環境は、コーチの力量が試されるところです。しかし、これはアイデア次第で、対処することもできます。

 例えば、トレーニングのターゲットを中間レベルより少し低い選手にもっていきます。もちろん、レベルの高い子どもに関しては、これだけでは物足りなくなってしまうものです。そのような子どもには、声のかけ方を変えたり、レベルの高い要求をすれば、トレーニングとして効果が出てきます。ドリル練習などでは、このような環境を積極的につくることができるでしょう。

 次に1日の練習で必ず、対人練習が入ってくると思います。そのような場合、レベルの低い子どもと高い子どもが一緒にプレーをすれば、高い子どもはトレーニング効果が低くなり、低い子どもはモチベーションが下がってしまうものです。そこで下記のような工夫をすると効果があります。

<トレーニング例:1対1の対人練習>

1.好きな仲間と対戦
2.勝った人同士で対戦
3.同じ勝敗の人と対戦
4.さらに同じ勝敗の人と対戦

 というように、自然と対峙するレベルが均一になるようにするのです。これはあくまでも一例ですが、このように工夫をすることにより、同じトレーニング内容でも、レベルによってアプローチを変えていくことができます。

 

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