地区トレセンの今。「強化や選抜が目的ではない」伊勢原トレセンの取り組み
2017年11月13日
コラムトレセンの練習に必要な「強度」
こうして伊勢原トレセンに参加してくる子どもたちだけあってモチベーションは高い。実戦形式のトレーニングでは、プレー中の子どもたちはもちろんのこと、待ち時間を利用してミーティングをしているグループ、あるいは遊び感覚でヘッド・リフティングに挑戦している子どもたちからも、とことんサッカーを楽しもうという雰囲気を感じた。どの子も意欲的であった。
「伊勢原トレセンのユニホームを着られること、トレーニングの場にいられることに、すごく誇りを感じてくれている子どもがたくさんいます。それだけに、むしろ無理をして練習に参加してしまうようなこともあるで、一人ひとりの健康観察は怠ることができません。
練習の強度にしても気を配っています。負荷がかかる練習内容であれば、休養をとる時間も多くします。そのときに気持ちが落ちないように、他のグループのトレーニングを見る時間やグループでミーティングをする時間など、休みながらも何かを考えることができるようにします。
それは試合に当てはめてみるとわかると思いますが、ゲームに出場することのできる選手は8人や11人のように限られます。ベンチにいる時間の方が長い選手もいます。それでもベンチ入りしている以上は、いつ自分の出番がくるかわかりません。したがってチームに関わる意識を高く持たせることも必要となってくるからです。ただし、そういった部分の指導方法については、まだまだ、これから工夫が必要なところではあります」
子どもたちの体調や日常生活にも気を配るという面においては、たしかに練習時間は夜間帯であるが、金曜日ということもあり、翌日は小学校も休み。授業への影響はない。土曜日に遠征が予定されていたり、朝から試合が組まれていたりするときには、練習の負荷を調整して、子どもたちの体調やパフォーマンスが低下しないようにする。
安倍監督は、照明が落とされ夜の帳(とばり)に包まれた校庭を、子どもたちの残像を追うように眺めながら「子どもたちがベストなコンディションを維持するために、どのタイミングでトレーニングを切り上げるのか――それは指導者の質にかかってくるのではないでしょうか」と言った。
【後編】出身者が帰ってこれる場所に。地区トレセンの指導者が語る理想の“トレセン”像
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