指導者は「金の卵を育てている認識を持つべき」。ミゲルが語る「失敗」の必要性
2017年11月22日
コラム才能を引き出すには「言葉の使い方」と「アイディア」が大切だ
2014年の 『AFC フットサルアジア選手権』では、世代交代に関して非常に気を配りました。その訳は、若い選手たちにまだ代表でのルールやプレーの判断基準が浸透していなかったからです。イランとの決勝では、心を落ち着かせて冷静な判断が下せるように「絶対にミスは起こるから」と最初に伝えました。そして、「ここのミスはOKだ。しかし、ここのミスはダメだ」と判断基準を明確にしました。
「ハーフコートを越えて、アタッキングサードに侵入したらミスしてもいいからどんどん攻めろ!勝負を仕掛けろ!ミスしても全く問題ない。しかし自陣では、ミスは許されない」
そのように、しっかりとした線引きを示しました。はっきりと基準を設け、選手たちの判断を磨いてあげることが私たち指導者の務めの一つです。たまたま GKの関口潤が大会中に調子を上げていたから多少のリスクを背負い、シュートを止めさせて自信をつけさせることを選びました。だから、フィールドの選手たちに「パスをつなぐことができるのならDFからしっかりビルドアップするように」と、アドバイスを送りました。「関口が止めてくれるから」と。
選手の成長には、指導者の『言葉の使い方』が大きく関わると思っています。どう話を進めるか、どんな言葉を選ぶか。ジェスチャーを含めた感情表現も大事です。それらはジュニア年代の子どもたちにとって『わかりやすく伝える』という点で、非常に重要な意味を持っています。私が日本の指導者にもっと深く追求してもらいたいのは『指導者の任務が何なのか』ということです。
私には、日本人の指導者たちが頭の中で描いている理想の指導が『戦術的なテクニックを身につけさせる』ことに見えています。そればかりに偏り過ぎているのです。だから、指導者向けの講習会などでは「コーチは金の卵を育てていると認識すべきだ」と言っています。いつも金を発掘しているイメージを持って、選手と向き合うべきです。
山脈の中から、金をどれだけ拾い上げられるのか。それが指導者の任務です。「金」と思うものを見つけて拾い上げ、それをキレイに洗い流して金を取り出し、そして、それを磨き上げる。そこまでが私たち指導者の仕事なのです。それが黄金のタレントたちなのです。その中にはテクニック、戦術、リーダーシップ……様々な形のものがあります。しかし、金の価値は同じです。形は全く関係ありません。そうとらえると、どんな指導者であっても考えるべきことは『選手の持っているものをすべて引き出す』ことではないでしょうか。
苦言になってしまいますが、日本文化の『失敗しないことに喜びを得るやり方』は才能を引き出すやり方に適していないと、私は思っています。そうしてしまうと、才能という金は磨かれません。指導者たちが向き合わなければならないこと、それは目の前の子どもたちを指導している間に『いかに多くの才能を引き出せるか』であり、それが一番大事なことです。
育成年代の指導者の本分を思い出して下さい。
【指導者は選手に戦術的なテクニックを身につけさせるのではなく、才能を多く引き出すことが一番大事だとミゲル氏は話す。】
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