サッカー脳を鍛えて”直感”を磨く!脳科学者が語る「判断力」の秘密

2017年11月28日

コラム
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サッカーは状況判断の質でプレーが変わります。しかし、正しい判断を下せるようになるには、広い視野、動きを瞬時に判断できる直感力が必要です。サッカーにおける広い視野や直感力は、トレーニングで磨けるものなのでしょうか? 脳科学者の篠原菊紀先生の話に耳を傾けます。

文●戸塚美奈 イラスト●舌霧スズメ 写真●Noriko Nagano

※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.25』より転載

 
※この記事は2013年9月25日に掲載した記事を再編集したものです。
 


 

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直感やひらめきも「経験」

 そもそも、「判断」と「直感」の違いは、時間をかけたものが「判断」、ごく短い時間で判断するのが「直感」と言えますが、脳科学的に言うと、「判断」はある程度、意識的に答えを出すもので、ほぼ無意識的になんらかの決定ができるものが「直感」と考えられています。

 そして、「判断」と「直感」では、脳の活動する場所も違い、さらに、その人があることについてのスキルをどれだけ持っているかによっても、脳の活動が大きく変わってくるんです。

 将棋を使った実験で、指し手に一定の時間を与えて次の一手を考えてもらい、その人たちの脳を調べると、前頭葉という、思考、計画、知的な判断をする部位の活動が高まってきました。

 これは、羽生善治さんのような名人・上級の人と、素人とも共通なのです。ところが、時間を短縮した早ざし状態で瞬間的に次の一手を決めてもらう実験をすると、素人クラスの場合は、前頭葉の活動がさらに盛んになってくるのですが、名人・上級をふくめプロクラスより上の人たちは、前頭葉の活動が小さくなり、線条体という部位がぐんぐん活動を高めていくのです。

 線条体は運動にかかわることが古くから知られていた部位で、特に運動のスイッチ、これからどういうふうに動くかといったタイミング設定をしていると考えられています。また、線条体の腹側には、快感の中枢である側坐核があり、運動や行動と快感のマッチングをしているのです。

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 サッカーで、「この動きをしたらよかった」「この判断をしたら正解した」などの経験と快感の積み重ねによって、「こうするのがいい感じ」と考えずにわかるようになる。それが「直感」だろうと言われています。

 つまり、脳の中であらゆるものを検索して正解を求めるのが意識的な判断。一方、経験を積み重ねていくことで、成功、失敗のタグが貼り付けられ、そのタグを利用して、「なんかいい感じ」「なんか嫌な感じ」という、好き嫌いに近い感覚を使って最適な選択を瞬時に引き出す、これが直感的な判断ということになります。

 将棋の早ざしの実験では、線条体の活動が高まってくるプロクラスの人たちの中でも、プロの入り口の棋士と名人クラスでは正解率に明らかな差が出ていました。

 もちろん、圧倒的に名人クラスの正解率が高い。これはおそらく、経験の差から、線条体に組み込まれている神経ネットワークが圧倒的に高度化しているからと考えられています。サッカーでの直感やひらめきというものも、この将棋の実験と同じく、経験の果てのものと思われます。

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