中学時代「レギュラー」ではなかった高卒ルーキー。「あんたがやめたいんやったら、やめればいい」支えになった親の姿勢
2018年01月16日
コラムJ1清水エスパルスへの内定が決まった興国高校サッカー部、西村恭史選手。身長184㎝の大型ボランチは9月に行われたU-18日本代表候補のトレーニングキャンプにも参加した。順風満帆なサッカー人生を歩んでいる彼だが中学2、3年生の時は、試合にほとんど出場することができないでいたという。そんな彼がなぜ、高校年代屈指のボランチへと成長し、プロになることができたのだろうか。その背景とは。
取材・文・写真●吉村憲文

「出場機会」が限られていた中学時代
子どもの成長を願わない親はいない。ただその想いが強ければ強いほど、他人との比較をしてしまうことも多い。しかし、本来育成年代ではそれはあまり重要なことではないのではないか? 成長のスピードは人それぞれでだからだ。
まさにそれをそのまま体現し、今年J1清水エスパルスの一員としてプレーすることが決まった選手がいる。それが興国高校サッカー部(大阪府)のボランチ西村恭史選手である。
「長身でありながら足元のテクニックに長けており、自陣ゴール前で守備をしたかと思ったら、前線まで駆け上がりゴールを狙うことのできる、今までの日本になかったタイプの選手」(興国高校サッカー部・内野監督)
中3の頃は所属クラブでレギュラーですらなかった彼が、遠回りしながらプロ入りを決め、そして代表候補にまでたどり着いた。その背景には、決して焦らず的確な保護者と関係者からのアドバイスがあったから。あくまでもひとつの例ではあるが、そこから私たちが学ぶことも多いのではないだろうか。
――西村選手は元々FWですよね。更にCBもやって、今はボランチ。タイプとしては、今までの日本にはいないタイプといわれています。
そういわれるんですが、実感がないというか、言われてうれしいというか。日本にあまりいないタイプなので、そこを注目してもらえるために結果で示したいと思います。ただ最初にCBにコンバートされた時は、めっちゃFWやりたくて、監督が見てる目の前でシュート練習をバンバンやりました。戻りたいって。でも監督はCBから見て、FWに何をされるといやなのかを見て欲しいと思ってCBにしたんだと思うんですが。それがFWでも役に立つという意味で。
――ボランチでやる覚悟は?
夏になってからボランチを本格的にやるようになって、守備も攻撃も、その覚悟ができました。
――目標とする選手はポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)だそうですね。
なかなかボランチで守備もできて、攻撃もできてという選手はいません。ポグバしか見つからないですね。自分としては相手との密集地帯でボールを奪われない技術には自信があります。
――幼少の頃を教えてください。お母さんの勧めで小3からサッカーを始めたと聞きました。
小1のころからみんなでサッカーをするのが好きで、学校の休み時間や公園でサッカーをしていました。当時はどこかのチーム入るという思いはなかったです。親に言われて初めて「どっかに入ってやろうかな」と思いました。それまではただ単に好きでやってた感じです。
――クラブの活動は結構厳しかったそうですね。
僕の家の目の前が通っていた小学校だったんですが、その小学校のチームがあって、サッカーをしていた友達はそのクラブに行きました。でも親からのアドバイスもあって、僕は長野FCにいき、そこでトレセンに入れてもらったりしましたい、週末の試合も強い相手とやることもできてよかったと思います。週のスケジュールは月、水、金がスクールで、土日がクラブでした。しんどいというのはなくて、ただ単にサッカーが好きでやりたいという気持ちが強かったです。その分、ケガも多かったですが、しんどいとは思わなかったです。
――ただ中学では思い描いた成長曲線とは違ったようですね。
中1の頃はまだ試合に出てはいたんですが、思うようにいかないというか。よく憶えてないですが、中学に上がって遊びたいという気持ちがあったのかなとも思います。小学校の頃に比べて、気持ちが少しずれていたのかもしれません。(明確な理由は)分からなかったですね。分かっていればそれを直すこともできたんですが。
――3年間、しんどかったですか?
そうですね。2年の時と、3年の時はなかなか試合に出られなくて。2年の時は1学年上に上がってはいたんですが、公式戦だと練習試合がなくて、会場にはいくけど試合には出られない。逆に1学年下でやっている同級生の選手が3年になった時に離されるような感じでした。たまに出たりしたんですが、スタメンで使ってもらうことはなかったです。
――よく気持ちが切れませんでしたね。
やっぱりサッカーが好きで、やめられなかったです。高校も興国高校にはきましたが、他から推薦をもらえるような話はありませんでした。それでもやめられなかったんですよね。多分地元の高校に行っていたら後悔していたと思います。そしてここにきて戦術眼が上がりました。ここでは考えないと試合に出られないんで。

【写真左から山田寛人選手(C大阪)、中島元彦選手(C大阪)、西村恭史選手(清水エスパルス)、島津頼盛選手(ツエーゲン金沢)、大垣勇樹選手(名古屋グランパス)】
※山田選手と中島選手は、興国高校サッカー部ではなく、セレッソ大阪ユースからの昇格。
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