風間八宏が語る、天才のつくり方

2012年09月21日

サッカーエンタメ最前線

9月7日(金)にカンゼンより発売され、早速重版がかかるなど大きな反響を呼んでいる『革命前夜 すべての人をサッカーの天才にする』。この書籍は気鋭のライター木崎伸也氏がサッカー解説者として絶大な人気を誇った風間八宏氏(現:川崎フロンターレ監督)を徹底取材し、サッカーの見方や概念を180度変える「新常識」を紐解いていく力作だ。
サッカーエンタメ最前線では、この書籍を2週にわたり紹介している。今回は、書籍より風間八宏流「天才のつくり方」の一部を版元の転載許可を得たうえでピックアップさせていただく。指導者の視点と、選手の視点から風間氏が語る天才のつくり方とは……。

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(注釈:本文は『革命前夜 すべての人をサッカーの天才にする』の6章「天才のつくり方(P102-111)」から一部抜粋。【指導者の視点①】~【指導者の視点③】は省略しています)

【指導者の視点④】子供をうまい大人と練習させる

9月7日発売の『革命前夜 すべての人をサッカーの天才にする』(カンゼン刊)

9月7日発売の『革命前夜 すべての人をサッカーの天才にする』(カンゼン刊)

風間「子供にとって、最も効果的な練習は何か? そのひとつが、うまい大人とサッカーで遊ぶことだと私は考えています。子供はものすごく柔軟な頭を持っていて、大人がいろんな種類のキックを使い分けてパスを出してあげたら、すぐに自分のものにします(もちろん個人差はありますが)。学ぶというより、遊びの中で覚えていくんですね。そうやって発想も、どんどん豊かなものになっていきます。ブラジルやアルゼンチンから次々に天才と言われる選手が出てくるのは、間近で天才を見て、いっしょにプレーする機会があることが大きく関係していると思います」

【指導者の視点⑤】全員を天才だと思って接する

風間「サッカーのトップの世界になると、技術と発想力だけでなく、スーパーな身体能力も兼ね備えています。たとえば82年の欧州選手権を観に行ったとき、フランス代表のプラティニは、足が速くてヘディングが強く、まさに超人のような選手でした。シャビにしてもものすごく動けるし、イニエスタはずば抜けたスピードがある。すべてがそろっていなければ、スーパースターにはなれないと思います。
ただし、 “人との比較”の中での天才性ではなく、”自分”の中における天才性ならば、確実に変えられると私は考えています。たとえ今、自分が凡人だと感じていたとしても、必ず自分の中で天才になれるということです。実際、大学の指導で、それを目の当たりにしています。大学に入ったばかりの頃は『指示の意味がわからない』と言っていた選手が、卒業するときには『いろんなものが見えるようになった』と言うようになる。発想力がものすごく伸びたということ。本当に天才と言われる選手は、子供のときのプレーを、大人になってもそのままやっていますよね。監督として私がやっていることは、選手たちが子供の頃に持っていた発想力を、もう1度、大学で思い出させる作業なのかな……と感じています」

【選手の視点①】言われたことに従わずに、それ以上の答えを出す

風間「ここまで指導者の視点で話してきましたが、ここからは選手の視点で話したいと思います。繰り返しになりますが、自分は決して天才ではありませんので、あくまで1人の日本人選手の経験談として見てもらえれば幸いです。
中2のとき、ブラジルのサントアンドレというクラブが清水に来て、清水選抜の選手たちが練習を見てもらうということがありました。その練習の中に『教わったフェイントでDFを抜いてシュートする』というメニューがあったんですが、私は自分の番が来たとき、すべて違う種類のフェイントでかわしてシュートしました。同じフェイントだと、おもしろくないので。そうしたら練習後、サントアンドレの監督が来て、『うちのクラブに来い』と勧誘してきたんです。結局、当時は高校サッカーに憧れていたので、断ってしまいましたが。必要とされるのは、言われたことをやるのがうまい選手ではなく、サッカーがうまい選手――。それはブラジルでも日本でも、同じだと思います」

【選手の視点②】試合でも遊び心を忘れない

風間「子供のときは本当にサッカーのことばかり考えていて、一番の関心は『なんで足を手のように使えないんだろう』ということでした。だから、足で箸を持ってみたり、鉛筆で字を書いてみたり。ほぼ毎日、神社の前で、裸足でサッカーをしていました。自分だけしかできないようなフェイントを身につけられたのも、そうやって足を手にしようとしたからだと思います。ただ、18歳から日本代表で選ばれるようになり、監督から言われたのは『そんなフェイントは試合中に使えないだろ』ということ。ヒールキックで相手を抜くフェイントだったんですが、あくまで遊びの技だと。まあ、当時は相当に生意気だったので、こう言い返してやりました。『見といてください。次の国際試合でやりますから』。次の試合、GKと1対1になったとき、このフェイントで抜き去り、ゴールをアシストしました。で、監督のところに行って言ったんです。『見ててくれてましたよね』。当時の監督はこういう遊び心を理解してくれたし、選手たちも持っていたような気がします」

※『革命前夜 すべての人をサッカーの天才にする』P102-111より一部抜粋
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風間氏の「天才」に関する視点。皆さんはどう感じるだろうか。この章の冒頭には”「天才は作れるものではない」がサッカー界の常識”と書かれているが、風間氏は違う視点からその常識を翻している。そのように常識を斬り、新たに日本サッカーの常識を提示する『革命前夜 すべての人をサッカーの天才にする』では、天才を育て、読者も天才の視点を持てるサッカー理論が散りばめられている。

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