選手と接するうえで気をつけるべき“平等”。正しい「評価基準」の伝え方

2018年01月31日

コラム

TOKYO, JAPAN - OCTOBER 24:  Kazuyoshi Miura #11 of Japan looks on during the international friendly match between Japan and Brazil at the Yoyogi Daiichi Taiikukan on October 24, 2012 in Tokyo, Japan.  (Photo by Masashi Hara/Getty Images)

評価基準とルールがあってトライ&エラーの意味を成す

 代表チームにも決まりごとやルールがありました。

「自分のことよりも味方のことを考える」
「チームのためにどれだけ努力ができるか」
「チームのためにどれだけ苦しめるか」… etc.

 勝つためには、味方が疲れて動けなければ自分が動かなければなりません。味方のミスは誰か一人の責任ではなく、みんなのミスです。そういう明確なルールがあるからチームが1つになっていくのです。それぞれの家庭にも、いくつかのルールが存在するでしょう。それは年齢によって変わっていくものもあります。

 私の家庭にも、子どもたちが守るべきルールがあります。

「後片付けをする」
「毎日スペイン語の教科書を一章ずつ読む」
「日本語を勉強する」
「食後に肩をもむ」… etc.

 10個ぐらいでしょうか。年齢を重ねたら、貯金をする、わからないことがあっても人に聞く前に自分で辞書を調べてみる…。そのルールをどの程度守ったかが子供たちにとっては評価を受ける基準です。うちでは、週10個中8個クリアすれば「ご褒美がある」というのが、子どもたちにとっての評価基準です。

 だから、息子も自分なりにがんばれば、日本の子どもたちがよく遊んでいるカードゲームのカードを買っていいと聞いてきます。もちろん、5日続けてクリアしている個数が少なければ、厳しく注意します。「説明する必要はないよな?」、と。ただ、2日連続なら「何で注意されているのか、わかるか?」の「何で」という諭す言葉がつきます。しかし、注意の場合は「わかっているのに、やらない」から厳しくなります。

 そして、うちには評価基準をクリアすれば「寝る30分前はゲームをしていい」というルールがあります。しかし、先日はそれを禁止しました。理由は明白です。ルールを達成できなかったから。ただ本当に大事なことは次からの行動であり、これはサッカーにも通ずることです。禁止されたことを解禁するために「どう行動するか」が前進につながります。ようするに失敗やミスを犯しても、それを取り戻すチャンスがあることが大切なことなのです。これは評価を考える上で、とても必要不可欠なことです。

「あれがダメだったんだな」

 そう、気づかせる時間を与えることは評価する側、つまり、指導者の義務です。次男はすごく奥さんに怒られ、「2週間ゲーム禁止」と言い渡されました。もし失敗を取り戻すチャンスがなければ「もういいや、そのままで」と思い込んでしまい、改善する努力をしません。

 でも、評価基準とルールがあるから「どうしたら、またゲームをやれるようになるのか」を考えるのです。そういう思考を張り巡らせるサイクルを習慣づけるためにお父さんお母さん、そして、監督やコーチが子どもたちを導くのです。

 これはスポーツも同じです。どんなエリートでも、常に向上心を持って練習に励まなければ、試合に出場させてもらえない。そんなルールと評価基準が存在するから、自分が試合に出場できなかったときに「どこが悪かったのか」と真剣に自らと向き合い、気づくことができるのです。家庭もチームもルールがあるから、それらに対して判断基準を設けられます。だから、成功と失敗を繰り返し、成長できるのです。指導者は、それを習慣化させることが大きな仕事の一つなのだと思います。

【連載】ミゲル・ロドリゴが教えてくれた「才能を引き出す」11の魔法


<プロフィール>
ミゲル・ロドリゴ

1970年生まれ。スペイン・ヴァレンシア出身。イタリアのルパレンセ・パドヴァやロシアのディナモ・モスクワ、スペインのカハ・セゴビアなどで指揮を執った経歴を持つ。2009年6月〜2016年2月までフットサル日本代表監督を務め、その後、フットサルタイ代表監督に就任し、現在はフットサルベトナム代表監督として手腕を振るう。FIFAインストラクター、スペインサッカー協会フットサル指導者資格を保持。

 

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