プレッシャーは子どもの成長に必要だ。親と子とサッカー、適切な“距離感”を考察する
2018年05月28日
コラムいくら自分の子どもだからといって「親は子にプレッシャーを与えてはならない」。この認識は欧州や南米に限らず日本でもある程度スタンダードになっているのではないでしょうか。しかし、サッカー大国・アルゼンチンでプロの指導者になるべく監督養成学校に通う河内一馬氏は「”プレッシャー”というものを一括りにして答えを出すのは、まだ早いのではないか?」と主張します。様々な国で様々な年代のサッカーを観戦し考察した経験から、「親からのプレッシャー」について独自の見解を示してくれた。
文●河内一馬 写真●佐藤博之、Getty Images
「親からのプレッシャーはない方が良い」と断言するにはまだ早い
育成年代におけるサッカーで必ず議題に上がる問題に、「親が子に与えるプレッシャー」というものがあります。これを読んでいる親御さんも、クラブのコーチや、サッカー関係のセミナーで、一度は言われたことがあるのではないでしょうか? 欧米の国々を回ってサッカーを見ていた頃、ある一人のスペイン人指導者と話をする機会がありました。私が「親が子に与えるプレッシャー」ということについて考え始めた頃です。
彼は「ここでは、親が子にプレッシャーを与え過ぎてしまうことや、コーチが指示を出しすぎてしまうことが問題になっている」と言いました。もちろん、スペインの指導者全員にアンケートをとったことはないので真実はわかりませんが、確かにそこで行われていた小さな子どもの試合を見たとき、大勢の親が見ている(大声出す)し、コーチは身振り手振り指示を出すし、あんなに小さな子どもなのに、既に「プレッシャー」の中でサッカーをしているのか……と感心していたところでした。
スペイン人が言っているからといって「親からのプレッシャーはない方が良いんだな」と、そのまま受け入れることができなかった私は、そこから自分なりに、この議題について考えてきました。「親が子に与えるプレッシャー」は、本当に必要のないものなのか、と。
私は現在、アルゼンチンのブエノスアイレス州にある、ラ・プラタという街に住み、監督養成学校に通っています。スペインやオランダ、ドイツ、イングランド、ポルトガル……その他合わせておよそ15の国と地域でサッカーを見た後、巡り巡って、ここ南米アルゼンチンでサッカーを学ぶことを決めました。
日本や欧米で指摘をされるように、アルゼンチンでも「親は子にプレッシャーを与えてはならない」と指摘をされます。私が通っている監督養成学校でも、授業の初めの頃に「親が子に与えるプレッシャー」についての話が出ました。
そこで議論にならない、つまり賛成と反対が分かれないのは、「親からのプレッシャーはない方がいい」という意見で一致している、ということだと思います。
それと同時に、一人の子を持つ指導者の「でもしょうがないよね。息子のことだから……」という発言とともにクラスが笑いで包まれたことも、私はこの問題を考えるにあたって、非常に大事な要素だと思っています。
試合を観る親御さんをよく観察していると、その国の文化や、サッカーに対しての捉え方を見て取ることができます。私がこれまで各国でサッカーを見て、日本やそれぞれの国で「親」を観察してきた中で思うことは、「親からのプレッシャーはない方が良い」と、”プレッシャー”というものを一括りにして答えを出すのは、まだ早いのではないか? ということです。
もう少し、掘り下げて考えてみたいと思います。
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