プレッシャーは子どもの成長に必要だ。親と子とサッカー、適切な“距離感”を考察する
2018年05月28日
コラム
ポルトガルで目を奪われた、試合後の光景
ポルトガルの名門「FCポルト」で育成年代の試合を見たときのことです。そこには理想の風景がありました。親御さんを中心に、兄弟や、他のカテゴリーの選手たちが一生懸命応援をしています。その雰囲気に乗せられた子どもたちは、熱意のある、かつ冷静な試合運びをしていていました。それは、私がこれまで見た中では最も理想的な「サッカーを楽しむ」姿であり、素晴らしい選手たちと会場の雰囲気でした。
ときにレフェリーに対して反応し、子どもたちに声援を送り続け、子どもたちもプロのような振る舞いを見せます。ポルトの選手たちは惜しくも試合に敗れてしまったのですが、親御さんはポルトの選手たち、また相手の選手たちを拍手で讃え、会場は暖かい雰囲気で包まれました。
敗戦を喫した子どもたちは誰からの指示を受けることもなく、ピッチの真ん中で円陣を組み、「俺たちはよくやった」と讃えあっているように見えました。負けた後に円陣を組む姿に、私は涙が出るほどの感動を覚えました。それは「見られている」という適度なプレッシャーがあったからこそ、だと思っています。
会場に足を運び、プレーに関してはぐっと堪え、ときに熱くなりながらも、子どもたちを讃えてあげてください。そして、ピッチの外では子どもたちをサッカーのプレッシャーから解放させてあげてください。
ここアルゼンチンでも、僕が見た試合は全て、試合後に大きな拍手が起こりました。アルゼンチンでは国民性も手伝って、親御さんがより熱くなってしまう傾向にありますが、最後に子どもたちを讃え、大きなハグをすることは決して忘れていないような気がします。
私はまだ、誰の父親でもありません。ただ、これまでの経験をもとに書いたこの記事が、サッカーをする息子さんや娘さんと接する上で迷いを持っていた方や、子どもに必要のないプレッシャーを与えてしまっていた方に少しでも役に立つことがあれば、この上ない幸せです。
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