プレッシャーは子どもの成長に必要だ。親と子とサッカー、適切な“距離感”を考察する

2018年05月28日

コラム

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※写真はイメージ。記事の内容とは関係ありません

「見られている」という適度なプレッシャーは必要なもの

 一括りにプレッシャーと言っても、様々なものがあると思います。「親(観客)が見ている」というプレッシャーなのか、それとも「勝たなければならない」というプレッシャーなのか、「ピッチ」で、または「ピッチ外」で……。

 これらを一括りにして、「親が子に与えるプレッシャーはない方がいい」と結論付けてしまうと、「無関心」が正義とされてしまったり、親は子どもをどこまでサポートをしてあげて、どこに手を出してはいけないのか? という迷いが生まれてしまうと思います。その結果「親からの愛情を感じない」という状態になってしまうことが、子どもにとって最も良くないことだと思っています。

 これまで私は、欧米や南米で、「プレッシャー下でプレーをする子どもたち」をたくさん見てきました。欧米や南米の選手達が小さな時から「プレッシャーの中でサッカーをしている」ことが、トップの舞台でも能力を発揮することができることと無関係ではない、と私は考えています。それは単純に「観客がいる」というプレッシャーです。育成年代においては、「親」が、プロにおいては「サポーター」が観客の役割を担うことになります。

 スペインでのことです。小学校低学年くらいの子どもたちの試合を見ていました。ピッチサイドにはたくさんの親御さんや友人が試合を観戦しています。

 幾度となく訪れるゴールチャンスに、観客の声援はより大きなものになります。そこで起きた現象を見たとき、私は外国の子どもたちの「感情表現」の豊かさを痛感することになります。得点機会を逃した際の落ち込みよう、ゴールを奪った際のプロ顔負けのパフォーマンス……。この子たちは「見られている」ということを自覚しているのだな、と感じました。

 ゴールという形でプレッシャーから「解放」された子どもたちは目を輝かせ、我慢することなく感情を爆発させ、サッカーの本来の楽しさを味わっているように見えました。もしも、何一つプレッシャーのない中でサッカーをし続けたら、彼らはあれほどのパフォーマンスを発揮したのでしょうか?

 育成に定評のあるスペインでは、「どこでどの試合が行われているか」という情報が把握できるアプリがあります。そこには、各カテゴリー(年齢別)の順位をはじめ、まるでプロのように細かい情報が記載されていました。これは個人的にすごく重要な役割をしていると思っていて、子どもの頃から「見られている」という環境を作るには、より多くの親御さんに会場に来てもらう必要があり、例えば順位に直結する試合ということを前情報として知っていれば、より素晴らしい雰囲気を作り出すことが可能になります。

 日本でも、ここアルゼンチンでもそうですが、育成年代の子どもたちが「いつどこで」試合をしているのかが、把握し辛い環境にあります。子どもたちがサッカーを楽しむために、感情表現を豊かにするために、また試合で成長をするために、「見られている」という適度なプレッシャーを日本全体で作っていってほしいと、私は思っています。

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