「ボールコントロール=狙った通りにボールを扱うこと」ではない。状況判断を伴う技術とは

2018年06月22日

コラム

試合を想定した状況をつくる

――ボールコントロールの代表的な練習としては、対面した状態で下投げで、胸のトラップ、もものトラップ……と順番に繰り返すというのがありますが。

「ありますね。あれは誰もが簡単にボールコントロールできますが、当たり前です。そもそも、できないことをするのが練習です。簡単にクリアできるメニューや、できることをいつまでもやるのは作業でしかありません。まったくの無駄とは言いませんが、効果は薄いでしょう。

 考えてみてください。試合中にその場から動かずにボールを受けること、コントロールしやすいボールが下投げで出てくること、絶対にないです。そしてその練習の直後にセンタリングシュートをして、動きながらさらには下投げじゃないボールに対応する。そこで『正確にコントロールしろ』と言われても無理ですよね? 

 それだったら入り口としては、実際にボールをさまざまな球種で自分の体に当ててみる。例えば胸にボールを投げて当ててみて跳ね返り具合を身をもって知る。次はキックしたボール、その次はスローイン。それぞれボールはどう弾むか、それを試すだけの方が効果は期待できます。
 
 僕はよく、中学生相手にものすごい強いボールを蹴って『胸でトラップしてごらん』と言いました。誰もうまくコントロールできなくて『胸が痛い~』と騒いでいるのですが、『試合中にもそうやって騒ぐの? ああいうボール実際に来るでしょ』と考える機会を与えていました。

 これは極端な例かもしれませんが、考えるきっかけを与えるのが指導者の役割ではないでしょうか。別の例では、ある選手がボールを奪われた。
 
 右側からディフェンスが来ていた場面で、右足でコントロールしたのが原因のひとつと考えられますが、それをすぐに言ってしまうのではなく、まずは『どうして奪われたのかな?』と質問してみる。うまく答えられなかったら、『ディフェンスが右から来ていたけど、今はどっちの足でコントロールした?』とヒントを出す程度にすることも私はあります」

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