女子サッカーの未来――。ヤングなでしこの背番号10・長野風花が見つめる”世界”と”目標”
2018年08月29日
インタビュー
スピードとパワーに圧倒された北朝鮮戦
――長野選手には、他の選手にはない2つの特徴があります。一つは縦パスです。男子を含め、ボランチは横パスで安全に試合を作る選手が多い中、狭いスペースでも鋭く縦パスを供給します。それは意識してプレーしているのですか?
長野「すごく意識しています。横パスやバックパスは安全なプレーだけど、誰でもできるプレーです。でも、ゴールに直結するのは縦パスからが圧倒的に多いです。ボールを持ったら後ろを向かず、前を向いてパスラインを探すようにしています」
――縦パスを意識するようになったのはいつ頃からでしょうか。
長野「ボランチをやり始めた中学3年生の頃です。小学校はフォワード、中学に上がってからはトップ下になり、中3でボランチに固定されるようになりました。最初の頃は後ろに下げることも多かったですが、やりながら『相手にとっては怖くないな』と思い、縦パスを意識するようになりました。でも、前を向けないと縦パスは出せません。だから、後ろからのパスに対し、相手ゴールに背を向けた状態だと前にボールを蹴れないから、ボールを受けるときのファーストタッチを練習しました。少し半身になることであったり、スッとターンすることであったり…体の向きとファーストタッチはかなりトレーニングを積みました」
――足の裏を使うことも多いですよね。
長野「足の裏もたくさん練習して自然に使えるようになりました」
――もう一つの特徴はボールへの寄せです。ボランチは少し距離を図り、味方が自陣に戻る時間を作る守備を選択する選手が多い中、2〜3歩ほどボールに対して寄せる距離が短いです。
長野「もちろん、ボールに寄せすぎず、距離を持って攻撃を遅らせる守備の選択肢もあります。ただ自分がボランチとしてパスを出す側にいて思うのは、やっぱりガツガツとボールに対してプレッシャーをかけてくる選手は嫌なんです。正直、ディレイを選択した守備は攻撃側にとって自由で何でもできてしまうと感じます。中盤でボールを支配することは勝敗を大きく左右します。だから、相手から距離を開けずに寄せてボールを奪う守備は心がけてやっています」
――相手が何を嫌がるかを考え、自分たちが優位に立つことを常にプレーの優先順位として高く持っているんですね。その点と少しリンクするのですが、予選グループの最終戦であるアメリカ戦は唯一、先制点を決められています。そのときの状況をうかがえますか。
長野「正直、先制点を決められた瞬間はチーム全体に焦りがありました。でも、すぐに全員で『焦らずプレーしよう』と声をかけ合いました。日本の武器であるいいリズムでのパス回し、ダイレクトプレーをやり続けたら絶対に追いつけるという自信がありました。前半0対1で終わっても後半45分あるから取り返せると思っていました。それは共通認識として持っていました」
――アジア予選を含め、勝てなかったのが北朝鮮です。どちらも決勝で敗れましたが、どんな感想を持っていますか。
長野「日本のほうが進歩したという思いはあります。アジア予選の決勝では、北朝鮮 のフィジカルとスピードとパワーに圧倒され、何もできませんでしたから。ボールを前に蹴って圧力をかけてくるサッカーに全く対応できませんでした。日本のリズムが出せなかった。でも、ワールドカップの決勝では、日本がボールを支配して多くのチャンスを作り、成長した姿を見せられました。とはいえ、北朝鮮との2試合を通じて180分間ゴールを決められませんでした。そこに詰めの甘さがあり、勝負強さに欠けていたのだと課題を感じています」
――北朝鮮を相手にゴールを入れる具体的なイメージはありますか。
長野「ペナルティエリア内の崩し、また、いいテンポでボールを動かして人がどんどん前に飛び出す攻撃を続けたら絶対にゴールを決められたと思っています」
――現在、個人的にはどんなことに取り組んで練習していますか?
長野「点を取ること、ゴールに絡むことに 重点を置いてトレーニングに励んでいます。 スルーパスを磨くこと、細かいところでの崩しの精度はもちろん、シュート練習には力を入れています。ワールドカップでは、シュートが打てる場面でもパスを選んでしまったことも多かったので、いまはゴールが見えたらシュートを打つことに意識を高くもって毎日の練習をしています」
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 「JFA 第42回全日本U-12サッカー選手権大会」で輝いた8人の選手たち/ジュニサカMIP
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。