女子サッカーの未来――。ヤングなでしこの背番号10・長野風花が見つめる”世界”と”目標”
2018年08月29日
インタビュー「U-20女子ワールドカップinフランス」で世界一に輝いたU-20女子日本代表。背番号「10」を背負いチームの中心として活躍した長野風花選手(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ/韓国)は決勝のスペイン戦で3点目を挙げ、優勝に大きく貢献しました。「U-17女子ワールドカップinヨルダン」でMVPを受賞し、将来のなでしこジャパンを背負うとされる逸材は、世界との戦いでどんなことを感じ、どんな目標を掲げているのか。『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol43』から「U-17女子ワールドカップ」後のインタビューを一部転載して紹介します。
※「U-17女子ワールドカップ」後のインタビューです
取材・文●木之下潤 写真●Getty Images
『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol43』から一部転載
【長野選手は2016年に開催された「U-17女子ワールドカップinヨルダン」でMVPを受賞した】
世界で感じた日本の良さと課題
――9〜10月にヨルダンで行われたU-17女子ワールドカップでは準優勝を果たしMVPを受賞されました。キャプテンとして今大会の代表にどんな印象を持っていますか。率直にお聞かせください。
長野「代表発足から2年間活動してきて、キャンプを重ねるごとにチームも個人も技術が上がっているのを実感しました。選ばれた全員のレベルが高かったし、特に組織としての動きは世界でもトップレベルだったと感じています」
――長野選手は2014年のU-17ワールドカップにも出場しています。前回大会と比べても、今大会はさらに個性的な選手が多かったように見えました。
長野「全員がのびのびとプレーできていました。個人の武器を、チームの中で生かせ る選手がそろっていたと思います」
――チームとして形が出来上がる間には苦労もあったのではないでしょうか。
長野「最初はとても苦労しました。一人一人のサッカーに対する価値観が異なるので、違うビジョンを描いているときもあったと思います。でも、勝ちたい気持ちはみんな同じです。すべてはワールドカップで勝つために共通理解を少しずつ深めながら毎回のトレーニングに取り組みました。それがワールドッカップで一つ形として見せられました」
――世界の強豪国と戦い、日本が通用したこと、また課題を教えてください。
長野「細かいところでのパス回しとその精度の高さ、そして、アタッキングサードでのアイデアは十分に通用しました。課題はゴールを決め切る最後の部分です」
――個人としてはいかがでしょうか?
長野「試合を重ねるごとに相手の動きが見えるようになりました。それもあり、大会中にスルーパスが通せるようになりました。広い視野を持って状況が見えるようになって、相手や味方の動きが冷静に把握できるようになったのが自分の成長できたところだと実感しています。課題は得点力です6試合フル出場して1点も決めることができなかったので、すごく悔しいです。もっと得点力をつけて相手にとって怖い存在にならないと、上のカテゴリーでは通用しないし、代表に呼んでもらえません」
――試合ごとにスペースへのパスの意識が高まっているのは感じました。楠瀬直木監督の指導があったのでしょうか。
長野「特別な指導は受けていません。ただスペースに対する出し手と受け手の意識が合い始めたのは感じていたので、試合を追うごとにスペースが共有できるようになりました。選手間でも大会前から話をしていました。たとえば、試合映像を見ながら『このスペースを狙いたいね』と話し合いながらピッチ上でトライしていました」
――スペースの共有について手応えを感じた試合やシーンはありますか。
長野「それぞれの試合で少しずつはあるのですが、特に手応えを持つことができたのは準決勝のスペイン戦です。なかでも、オウンゴールを誘発した2点目のシーンは出し手と受け手のイメージがぴったり合いました。あのスルーパスは自信がついた一本です」
――ボランチとしてチームを牽引されました。どんな意識を持っていましたか。
長野「早い時間帯で先制点を取ることが大切だと思っていました。そうすれば落ち着いてゲームを運べるし、日本のリズムで戦えます。中盤で落ち着いてチームをコントロールすればチャンスも得点も増やせると自信を持ってプレーしていました」
【「U-17女子ワールドカップinヨルダン」では主将としてチームを引っ張った】
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