守備のスペシャリスト対談! 日本人が「マンツーマン」ではなく「ゾーン」が合っている理由
2018年09月05日
インタビュー精密な「4‐4‐2」のゾーンディフェンスを用いてアビスパ福岡(2005年)、ヴィッセル神戸(2006年)をJ1昇格に導いた松田浩氏(V・ファーレン長崎の育成部長)と守備の要として鹿島アントラーズで長年活躍した岩政大樹選手(東京ユナイテッドFC選手兼コーチ)。守備のスペシャリストであり理論派として知られる二人の対談を『詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください』より一部転載して紹介します!
取材・構成●鈴木康浩 写真●編集部、GettyImages
『詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください』より一部転載
ゾーンディフェンスは日本人に合っている
――岩政選手は東京学芸大学時代にゾーンディフェンスに触れられたと聞いています。その辺りからお話を伺わせてください。
岩政大樹(以下、岩政) まさに東京学芸大学では当時、瀧井敏郎先生がゾーンディフェンスを提唱されていて、ゾーンの考えをみんなで話し合いながら学べた時期でした。僕自身は色々なサッカーを見るのが好きで、セリエA全盛期のミランがゾーンで堅い守備組織を築いていた時代ですが、僕自身、大学4年間でその考え方がだいぶ鍛えられたと思っています。
ゾーンディフェンスは論理的だし、守備のミスで何となくで終わってしまうシーンを言葉で整理して次に挑むことができる。僕のサッカーの捉え方とすごくマッチしたし、楽しかった。
ただ、プロになったときに他の選手たちにその考えがなかったのは驚きました。プロの世界ではそれぞれが相手に付いて「やられたらそいつの責任だ」と考えることが多い。僕はそういう考え方ではなく、場面場面においてお互いの縦と横の繋がりを持ちながら守備をする楽しさを感じていたんです。その考え方ができるのは僕の強みだと思ったし、これをプロ仕様に極めていこうと思ったんです。
松田浩(以下、松田) 大学時代にゾーンの理論に出会えたわけですね。マンツーマンは敵の位置で自分のポジションが決まるから相手が動けば動かされる。でも、ゾーンは味方の位置でポジションが決まるから相手には左右されない。一番危険な場所に人を揃えられるから、ボールの周辺はいつも数的優位になるんです。その感覚に出会ったとき、僕はこれは日本人に合っていると思ったんです。
僕は昔、サンフレッチェ広島でスチュワート・バクスターという監督にゾーンを学んだのですが、彼が「日本人は『相手のこの選手が点を取ったらお前の責任だ!』としてしまうとナーバスになって『こいつだけにはやられない!』という発想だけになってしまう」「もっと責任を分散化して集団で戦えたほうがより力を発揮できる」という話をされていたときに、ゾーンディフェンスは日本人のメンタリティに合うと感じたんです。
岩政 僕もそう思います。「日本は組織的にやらなきゃいけない」という言葉だけが一人歩きしていて、守備が突き詰められていない。欧州との歴史の差があるから仕方がないにせよ、失点したときに「こいつがやられている!」という見方だけではなくて、「ここがこうずれているからチームとして失敗している」という見方が出てくるとプレーする側も変わると思います。
松田 確かに守備についての組織がまるで論じられない。「組織でやろう」とは言われるけれど「何をもって組織なんだろう?」と思います。攻撃面でいえば、良いポジションをとってワンタッチプレーが展開されたときに「組織的な攻撃」だと称賛されるのに。
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