守備のスペシャリスト対談! 日本人が「マンツーマン」ではなく「ゾーン」が合っている理由
2018年09月05日
インタビューゾーンに出会ったおかげで選手としての寿命が伸びた
――岩政選手は冒頭でゾーンが「楽しかった」と話されていましたが、そのあたりをもう少し聞かせてもらえますか?
岩政 そうですね。僕はもともと身体能力に優れていたわけではないので、体力勝負ではプロになれないと思っていたし、大学生になるまで一度もプロになれると思っていなかったんです。でも、大学でゾーンディフェンスに出会ったときに「これを極めたらプロになれるのでは?」と思ったんです。みんなでゾーンディフェンスを学びながら、「ここに相手がいるときはどうすればいいんだろう」ということをひたすら議論したし、こうやってみんなで協力しながら守れば僕でもボールが奪えるんだ、と思えるようになったんです。
松田 いい大学に行きましたね。
岩政 そうなんですよ、本当に。
松田 学芸大の選手たちは出会ったものに対する感受性が人一倍強かったから、それを大事にできたんじゃないかな。
岩政 僕自身は数学の勉強をしていたのでそ もそも理論的な考えをする方でした。数学科の作業はどんどん物事を掘り下げていくんです。そういうのが好きだったからゾーンの考え方が合っていたのだと思います。
松田 僕も物事を論理的に考えるのは好きですね。それに、僕はもともとはフォワードで、大人になってからディフェンダーになったから1対1の体力勝負の対応が苦手だったんです。でも、ゾーンで守ると常に自分がカバーされている感覚があるから、気持ちを楽にして力を発揮できた。
よくバクスターに「そんなにガツガツと奪いにいかなくていいぞ」「身体を寄せに行くときもひっくり返されるな。相手を振り向かせなければいい。ボランチが挟み込みにくるから」などと言われながら理論を教わる中で「これだったら自分にもできる」と感激して心酔していったんです。
当時、まだ若かった武田修宏らと対峙したとき自分は30歳近く。いつまでも相手を必死にマークし追い回すだけの受け身の守備に面白さを感じなくなっていた時期でしたから、バクスターの話は目から鱗だった。
岩政 そうですよね。気持ち悪く対応しないで、こっちの支配下に置いて気持ちよく対応したいんですよね。
松田 そう、それですね。こっちが守備で先手を取っている感覚がずっとある。DFラインは4人が並んでいて、ボールが出てこないならば相手が動こうと動かない。すると相手は「なんで付いてこないの?」という感じになる。なぜなら主導権はこちらにあるから。なんて素敵な世界があるんだ! と思いましたね。その考え方に出会ったのが 32歳の頃で、まだまだ現役を全然できると思ったし、自分が 36歳まで現役ができたのはゾーンに出会ったおかげです。自分は一度引退してから復帰しているんですよ。
岩政 え?そうだったんですか。
松田 そう、Jリーグが開幕する直前にカム バックしているんです。
岩政 へー。
松田 Jリーグ開幕の元年にピッチに立てている。ゾーンに出会って、もう奇跡みたいなことが起きた。守っていることが本当に楽しかった。
岩政 だからゾーンを知らない選手たちが知ることができれば守備が相当楽しくなると思うんです。まったく受け身の守備ではないし、相手を支配下におけるのだから。
※対談の全編は『詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください』をご覧ください。
<プロフィール>
岩政 大樹(いわまさ だいき)
1982年1月30日生まれ、山口県出身。東京学芸大から鹿島アントラーズに加入し、2007年からJリーグ3連覇に貢献した。3年連続Jリーグベストイレブンに選出された。13年に鹿島を退団したあとタイのテロ・サーサナを経由し、15年にファジアーノ岡山へ。17年から東京ユナイテッドFCで選手兼コーチとして活躍する。サッカー選手として多忙な毎日のなか、自ら執筆を精力的にこなす。『PITCH LEVEL』(KKベストセラーズ)ではサッカー本大賞2018を受賞。
<プロフィール>
松田 浩(まつだ ひろし)
1960年9月2日、長崎県長崎市出身。筑波大学を経て日本リーグ2部のマツダSCに入団。その後、ヴィッセル神戸でプレーし95年に引退。監督として、恩師スチュワート・バ クスター仕込みの精密な4‐4‐2のゾーンディフェンスを用いて05年にアビスパ福岡、翌06年には神戸をJ1昇格に導いた。その後、栃木SCの監督や日本サッカー協会のナショナルトレセンコーチなどを歴任したあと、現在はV・ファーレン長崎の育成部長を務める。ゾーンディフェンスへの造詣が深く、日本最高の守備マイスターと崇められる
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