ここがヘンだよ日本の育成。 選手に判断をゆだねられないのはなぜ?
2018年09月30日
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変化する状況への対応こそがサッカーに求められる能力
組織は重要であり、それをいつ採り入れるかも重要だ。プロサッカーであれ、いかなるスポーツであれ、ある種の枠組みの範囲内でプレーしなければならないことは間違いないし、ある程度は監督による統制も受ける。だが、その枠組みは、選手が試合の最大の目的を理解するようになるまでは採り入れるべきではない。子どもたちが自由にプレーし、何の制限もない環境で自分を試す機会を与えられる前から、厳格な制限を設けてしまうのは非生産的なことでしかない。
たとえば、ビーチやストリートでのプレーに慣れ親しんだアフリカや南米の若い選手たちであれば、自分をコントロールすることを指導によって身につけることが可能だ。規定のピッチ上で、より制限された環境で行われるプロのゲームの中で、ビーチやストリートと同じ技術や、より洗練した技術を発揮できる。一方、息の詰まるような制限だらけの厳格な環境の中で育てられた日本の選手たちは、必要に迫られても即興的なプレーで自由に自分を表現できない。試合中の突然の状況変化に対して、本能的に対処するような思考過程を育んでいない可能性が高いからだ。
エンゲルス氏は、早い段階で実際の試合の状況を採り入れることの重要性を説く。
「ドイツでは、『リアルゲーム』あるいは『ニアゲーム』というものが、重要なフレーズのひとつとなっている。これらの試合に直結するトレーニングは非常に重要なものであり、おそらくは(日本に)まだ欠けているものでもある。グループの人数に、その理由があるケースも多い。人数が多すぎる一方で、ピッチが小さすぎるからだ。しかし、アフリカで10人の子どもたちが集まったとすれば、5対5で試合をするだろう。ドリブルだけを1時間、パスだけを1時間やるようなことはない」
並べられたコーンの周りでボールを扱ったり、フリーキックを曲げてゴール隅に決めたり、10ヤード離れたチームメイトにパスを送ったりするのは、いずれも若い年代で取り組まなければならない基礎的なスキルだ。
だが、それはいずれも、変化しない状況の中で行われる反復行為に過ぎない。十分な練習さえすれば、完璧に実行するのは容易なことだ。しかも、能力ある選手は、こうした静的な状況にすぐに満足してしまうかもしれない。動きを自動的にこなせるようになり、結果としてそれ以上の成長はできない。若いうちに有望視されても、海外移籍後に上積みができず苦戦する日本人選手は増える一方だ。対戦相手は彼らの長所に対抗する術をすぐに身につけてしまうが、そこで新たな別の武器を手にすることができないためだ。

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