「寝る子は育つ」はある意味本当。睡眠研究のスペシャリストが語る子どもの成長と睡眠の関係
2017年07月14日
コラム寝る子は育つ。日本に昔からあることわざです。プロ野球で投手と野手の“2刀流”として活躍する大谷翔平選手は、小さいころから睡眠を重視していたそうで、今でも睡眠にこだわりをもって自己管理をしているそうです。では、子どもの成長と睡眠は実際にどんな関係があるのでしょうか。今回は、睡眠研究において「世界一」との呼び声高いスタンフォード大学の医学部で教授をつとめる西野精治氏に子どもの成長と睡眠の関係について語っていただきました。
取材・構成●高橋大地/ジュニサカ編集部 イラスト●まえかな 写真●Getty Images、ジュニサカ編集部
大きな問題になる前に…。見直したい睡眠への意識
子どもの発育において睡眠は重要な役割を担っています。それは脳の発達と睡眠は深く関わっているからです。
まず、知っておかなければならないのは、睡眠は生育によって変化をするということです。脳がまだ未成熟な生まれたばかりの頃は、レム睡眠(浅い眠り)が非常に多くなります。それが脳が発達する12、3歳のときに減り、だんだんと大人の睡眠のリズムへと変化します。このことから脳の発達と睡眠は大きく関わっているといえます。
また、寝ているときには『成長ホルモン』が分泌されます。成長ホルモンは、骨の発育や細胞の新陳代謝を促進させて、子どもの発育だけでなく、最近ではアンチエイジングケアの一環として美容にも欠かせないホルモンとして広く知られています。
この成長ホルモンは、眠った分だけたくさん分泌される、というわけではなく、いかに“深い睡眠”をとれているのか重要になってくるのです。
通常、睡眠というのはノンレム睡眠とレム睡眠とに分けられます。その2種類の睡眠を繰り返すのがひとつのサイクル。これが明け方までにだいたい4回ほど出ているといわれています。成長ホルモンが分泌されているのは、最初のノンレム睡眠のときということです。
※入眠直後のノンレム睡眠が一番深く、この時期に成長ホルモンが放出される。
特にジュニア年代は、睡眠の変化に過敏になってきます。睡眠不足の場合、大人であれば意思表示することができますが、子どもの場合はそうもいきません。イライラしたり、キレやすかったりする子どもは、睡眠不足の兆候があるといえます。
また、子どもでも『睡眠時無呼吸症候群』を発症することがあります。米国などの子どもは、部屋でひとり寝ていることが多いため、親が気づかないのだそうです。情緒不安定や注意欠如多動性障害(ADHD)の兆候がみられる子どもが実は睡眠時無呼吸症候群による影響で、そういった精神異常をおこしている場合もあります。
発育段階にこういった傾向がみられるのは、非常にクリティカルな問題で、後々取り返しのつかないことになる前に解決する必要があるでしょう。
現代の子どもたちは、どんどん睡眠時間が短くなっていて、寝る時間も遅くなっていると聞くので非常に心配です。
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