我々は勝利よりもプロセスを大切にしている。イングランドが「育成」で重要視していること
2018年10月01日
未分類
選手に「考えさせる」コーチング
――マンチェスターではジュニア年代の育成の改善を図るために、ピッチを横に3分割する直線を2本引いたリトリート・ライン(※選手は相手のゴールキック時と相手GKがボールを保持した時、リトリート・ラインの後ろまで戻らなければならない)というルールを導入したと、日本のネットの情報で見ました。それはイングランドで実際に行われているのでしょうか?もしご存じであれば、教えてください。
「リトリート・ラインが取り入れている地域もあります。しかし、プレミアリーグのアカデミーチームの試合の場合は基本的にリトリート・ラインを取り入れていません。なぜプレミアリーグのアカデミーはリトリート・ラインが無いのかというと、プレッシャーがある中でも攻撃ができるようにしていきたいからです」
――なるほど。リトリート・ラインがある中で試合をしたことはありますか?
「ありません(笑)」
――なぜリトリート・ラインがあるのかを聞いたのは、アーセナルはゴールキックのとき、GKが
「ドカン!」と大きく蹴るのではなく、センターバックが横に広がって、後方から丁寧につないでビルドアップをしていたからです。そういったゴールキックを蹴らずに後方からつないでいく傾向はプレミアリーグに所属するクラブだけでなく、イングランド全体で意識的に取り組んでいるのでしょうか?
「町のローカルクラブの詳しい事情までは分からないのですが、少なくとも各プレミアリーグのアカデミー選手はそれぞれのアイデンティティを持ってプレーしています。例えば、エバートンのアカデミーは後ろからロングボールを放り込むスタイルです。逆にマンチェスター・シティは後方からパスをつないでくるスタイルです。アカデミーによって異なったスタイルを持ってプレーしていることは確かです」
――イングランドで取り入れられている特殊な取り組みがあれば教えて頂きたいです。
「イングランドは4つのセクションに分けて選手にアプローチしています。『テクニック』『戦術』『フィジカル』『心理学(メンタル)』です。この4つをモデルに今まで選手を育ててきていたのですが、イングランドサッカー協会は『これだけでは足りない』と言っているので、具体的な要素はまだ分かりませんが、もう少し付け足されていくと思います」
――私個人の意見ですが、日本では戦術的なアプローチをしているクラブが非常に少ないです。イングランドではどのような戦術的アプローチをしているのでしょうか?
「トレーニングはリアル(試合)に近づけた形にしています。試合全体を虫眼鏡で切り取って、よりリアル(試合)に近づけた状況での練習を繰り返しています」
――プレミアリーグのアカデミーチームだけでなく町クラブもそういった戦術的なアプローチはできているのでしょうか。もし、分かるのであれば教えてください。
「イングランドのサッカー協会はグラスルーツのローカルチームにもそういった戦術的アプローチができるようにしていると思います。ただ、個人的な意見で、少しは戦術的アプローチをしているチームもあると思いますが、ほとんどのチームはまだまだできていない印象があります」
――ローカルチームの試合は普段見ないのでしょうか?
「そうですね。ローカルチームの試合を観る機会は少ないです。アーセナルのFWにオズマン(・カマラ)くんという選手がいるのですが、その子は元々ローカルチームにいて、我々(アーセナルアカデミー)がスカウトしてきた選手です。ローカルチームにもたくさんいい選手はいるので、しっかり探していこうと思っています」
――それはアーセナルだけに限らず、プレミアリーグのアカデミーはローカルチームからたくさんスカウトして引き抜いているという認識で大丈夫でしょうか?
「そのとおりです。選手によって成長スピードは異なるのですが、我々の目的としては最終的にトップチームに行けるような選手を探して育てていくことです」
――スカウトするときはアーセナルの哲学に合った選手を引き抜くのでしょうか?
「例えばプロフィールを見て、『このGKはどのくらいまで身長が伸びるのか』というところを見ています。質問と回答がずれていて申し訳ないのですが、スカウトするときに重要視しているのは、ポテンシャルです。例えば、テクニックにしても、サッカーを始めたばかりの子とサッカを始めてしばらく経った子のテクニックのレベルが同じだとしたら、ポテンシャルがあるのは前者です。我々(アーセナルアカデミー)はそういったところまでチェックしています」
――ポテンシャルの差はどういったところを見て判断しているんですか?
「まず、さきほど言った4つの観点『テクニック』『戦術』『フィジカル』『心理学(メンタル)』から見極めています。選手によって成長スピードは違うので、(スカウトした選手には)目標を与えています。例えば、『右足だけでなく、左足を使うようにしよう』とか選手ごとに目標を変えて、評価するようにしています」
――時間も少なくなってきました。最後に聞きたいことが1つあります。近年、イングランドの躍進が目立ちますがそれは、話を聞いてもわかる通り育成の改革が大きな要因です。アダム監督はどこを変えたから、若手も台頭してきて強くなっていったと感じていますか?
「昔はコーチが『これをやれ』『あれをやれ』と。試合中も『右に行け』『左に行け』と強制的な指示をしていたんですけが、今はサッカーは選手一人ひとりが考えてプレーすることを前提でコーチは話しかけています。『なんでそのようなプレーをしたのか』と考えさせるコーチングをすることで、選手は頭を使ってプレーをするようになりました。それがイングランドが強くなっていった最大の要因だと私は感じています」
――時間がない中、インタビューに答えてくれてありがとうございました。
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