我々は勝利よりもプロセスを大切にしている。イングランドが「育成」で重要視していること
2018年10月01日
未分類サッカーの母国・イングランド。今年の6月に行われたロシアW杯では28年ぶりにベスト4に進出、さらに、U-20W杯、U-17W杯で優勝を飾るなど各年代の代表チームが世界の舞台で輝きを放っている。その理由はどこにあるのか。そこで、「U-12 ジュニアサッカー ワールドチャレンジ 2018」に参加していたアーセナルFCの監督アダム・バーチャル氏にインタビューを敢行。そこからイングランド躍進の背景が見えてきた。
取材・文●中澤捺生 写真●Getty Images、木之下潤、佐藤博之
勝利よりもプロセスを重要視している
――イングランド代表はロシアW杯でベスト4に入ったのをはじめ、U-17W杯やU-20W杯、トゥーロン国際大会で優勝を飾るなど、近年、躍進を遂げています。この大きな要因は育成の改革をしたからでしょうか?
「ここ10年の間でイングランドは大幅な育成改革を行いました。例えば、イングランドサッカー協会はコーチングの方針をトップから変えていきました。もちろん選手に勝利を求めることは大切ですが、それよりも勝つまでのプロセスを育成年代では重要視するようになりました」
――イングランド代表はフィジカルよりもテクニック重視の傾向になってきている印象があります。
「今、最後に伝えたプロセスのところとつながるのですが、育成年代から勝利を最優先で考えると、例えば右利きの選手であれば、右足だけのシュートにこだわるようになります。でも、将来を見据えて、(指導者が)プロセスを最重要視することで、左足も磨いていかないといけないだとか、試合で生かせるテクニックを磨いていかないとか、そういったところにまで目を向けて選手にサッカーを教えることができるようになります。昔、イングランドの選手は9歳の頃、11人制の大きなピッチでプレーしていたのですが、育成改革によって小さいピッチでプレーをするようになりました」
――小さいピッチになってアダム監督はどういったメリットを感じていますか?
「小さいピッチになると、常に(相手に)プレッシャーをかけられる状態になります。そうすると、ディフェンスも厳しく相手にアプローチができるようになります。また、狭いピッチの中でディフェンダーがプレッシャーをかけてくるので、攻撃側も相手のプレッシャーが早くなった状態で攻撃をしかけなければなりません。
すると攻撃のところで変化が生まれるなど相乗効果が現れました。そういったプレッシャーがある状況を切り抜けるためには、テクニックだけを極めていくのではなく、相手が実際にいる試合の状況の中で生かせるテクニックを習得しなければならないからです。アーセナルはそこを意識しながらトレーニングを積んでいます」
――U-12年代は何人制なんですか?
「(※アーセナルの)9歳以下は6人制です。それ以降は年齢に応じて7人制、8人制、9人制…になって少しずつピッチの大きさも広くなっていきます。13歳からは11人制になります」
――なるほど。日本のU-12年代にはリーグ戦というものがあります。イングランドの育成年代にリーグ戦は存在するのでしょうか?
「18歳までリーグ戦は存在しません」
――ではどのようにして、試合環境を与えているのでしょうか?
「(プレミアリーグのアカデミーチームは)毎週、異なったアカデミーチームと対戦します。それはリーグ戦のようなポイント制ではなくて、ディベロップメント(選手の才能を発揮させること)を考えた試合が行われています」
――プレミアリーグのアカデミーではない町のローカルクラブではリーグ戦が実施されているのでしょうか?
「ローカルクラブ間ではリーグ戦は存在しています。子どもは勝ちたいという気持ちが強いので、そこは、大人たちが上手くサポートしていかなくてはいけません」
――人数の話に戻るのですが、9歳から7人制、8人制、9人制と、一人ずつ人数が増えてピッチサイズも大きくなると話していましたが、どのクラブもそうなのか、それともプレミアのアカデミー限定ですか?
「アーセナルだけです」
――アーセナルは他のプレミアリーグのアカデミーと対戦するときは「何人制で対戦しましょう」と申し出るということでしょうか?
「毎シーズンごとに何人制で試合をするのかをプレミアリーグに伝え、それで、何人制で試合をするのかを決めています」
――それはアーセナルだけで何人制と決めているのでしょうか、それともプレミアリーグ全体で、「この年齢のときは何人制にしよう」と決めているのですか?
「アーセナルが『何人制で試合をしたい』と申しでます。例えば、マンチェスター・シティやリバプールと試合をする場合は異なった人数で試合をするときもあります」
――アーセナルのU-12カテゴリーは何人制で申し込んでいるのですか?
「U-12の場合は9人制です。なぜ9人制なのかというと、1つめの理由としては体が成長していない状態で、11人制のピッチでプレーをするとケガのリスクがあるからです。2つめの理由は9人制のピッチだと試合で生かせるテクニックを発揮しやすいからです」
【アーセナルU-12を率いていたアダム・バーチャル監督】
カテゴリ別新着記事
ニュース
セレクション
-
【ユース セレクション】ザスパクサツ群馬(群馬県)2020.09.23
-
【ジュニアユース 体験練習会】SC大阪エルマーノ(大阪府)2020.09.23
-
【ジュニアユース セレクション】府ロクジュニアユース(東京都)2020.09.23
-
【ジュニアユース(女子)セレクション】ザスパクサツ群馬レディース(群馬県)2020.09.18
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会第16回MUFGカップ 大阪大会】大会結果・フォトギャラリー2023.03.15
-
【卒業記念サッカー大会第16回MUFGカップ 愛知大会】大会結果・フォトギャラリー2023.03.08
-
【卒業記念サッカー大会第16回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2023.02.22
-
【卒業記念サッカー大会第16回MUFGカップ 東京大会】決勝レポート2023.02.22
お知らせ
ADVERTORIAL
![]() | ジュニアサッカー大会『ドリームカップ卒業大会in白子』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- 身長は「遺伝」なのか?子どもの背を伸ばす「2つ」の要素
- サウサンプトンU16所属選手も招集!U-16日本代表メンバー発表/第50回モンテギュー国際大会
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- “サッカーお弁当”は炭水化物を中心に!運動のエネルギー源になるレシピとは?
- 「2022ナショナルトレセンU-13 後期(中日本)」参加メンバー発表!
- 「2023 JFAナショナルGKキャンプ」参加メンバー発表!
- ESTRELLAS.FCがPK戦を制し福島県大会連覇達成!スコアレスでも選手を信じた指揮官/第40回全日本少年サッカー大会 福島県大会
- 運動神経は”才能”ではない!? スポーツ上達の秘訣は「脳」にあり
- 「2022ナショナルトレセンU-13 後期(東日本)」参加メンバー発表!
- 成長期におとずれる「クラムジー」に対して保護者と指導者は何をすべきか?