「有能感」を持たせる。それが一番大事。いわきFCが運動能力にアプローチする理由
2019年01月21日
コラム2017シーズン天皇杯全日本サッカー選手権でJ1の北海道コンサドーレ札幌を撃破するなど、衝撃的なジャイアントキリング旋風とともに脚光を浴びたいわきFC。天皇杯での躍進をキッカケにJ1のクラブにも勝るとも劣らない施設や、クラブのヴィジョンに掲げる「日本のフィジカルスタンダードを変える」というセンセーショナルな言葉が様々なメディアに取り上げられ話題となった。一方で彼らは「育成」にも力を入れ、着々と地域に根差したクラブになっている。今回はいわきFCでアカデミーアドバイザーとして育成に携わる、小俣よしのぶ氏に話を聞いた。
【連載】いわきFCの果てなき夢
取材・文●藤江直人 写真●ジュニサカ編集部
【小俣よしのぶ氏インタビュー第1回】運動能力は情報を収集して分析する能力で決まる。いわきFC、育成の中心人物が語る「スポーツ万能」の育て方
「面白がってやる」ことが重要
――いわきスポーツアスレチックアカデミー(ISAA)をスタートさせて2年目。親御さんからの評判もいいのではないでしょうか。
「運動会で一等になったとか、今までビリの方だった子が順位を上げたとか。当然ながら体力、運動能力が高まると、勉強の方にも相乗効果が出てくるので、机に向かうときに集中力が増したということもありますよね。まさに自分はできるんだ、という“有能感”が出てきたという証です。
子どもが一番有能感を持ちやすいのが、実は運動なんです。子どもがよく『見て、見て』と言うじゃないですか。あれはまさに有能感を認めてほしいからなんです。だからできていようがいまいが、ほめてあげればいい。
子どもに『お前、すごいな』と言ってあげれば、喜んでさらにいろいろなことに興味を持って、自信につながっていく。大人であればできなくても何とか頑張って続けようと思うところで、子どもは心技体がひとつであるがゆえに違うんです。できたら嬉しくなるし、できなかったらへこむ。
子どもを最もやる気にさせるのは運動を通して有能感を持たせ、自信をつけさせることが一番簡単というか、手っ取り早いんです」
――最初は4つあるカテゴリーの定員をそれぞれ20人としていましたが、あっという間に埋まってしまったそうですね。
「いきなり100人の子どもたちが来ましたからね。以前からやりたい、具現化したいと思っていたことと、いわきFCの理念がちょうど合致したこともあり、運命的かな、とも感じています(笑)。
小学校の統計でよく見られるのが、体力テストの成績がいい子どもの方が『学校が楽しい』と言うことなんです。算数や国語の成績がよくても、学校が楽しくないと感じる子どもがかなりいる。
理由は明快です。体育や運動会でヒーローになると、モテモテになるので。運動をすることによって、活動エネルギーが作られます。運動をしない子どもは、そもそもエネルギーがないわけなんですよ。
車に例えればガソリンが注入されていない状態で、ガソリンが満たされればそれを消費するために動きたくなる、という図式が生まれるわけです」
――ISAAでも自分たちのクラスを終えた子どもたちが、隣接するフットサルコートで歓声を上げながら、無我夢中になってボールを追いかけていました。
「そこが一番重要なんです。大人に教えられてするのではなく、自分たちが面白がってやることが。言うまでもなく有能感に導かれるもので、ちょっとできるようになると、どんどん自分たちでやりたくなる。
ISAAもスクールですけど、一般的にお金をいただいて指導員がしっかり教えるスクールと、私たちのようなスクールの違いはそこにあると思っています。いわきFCフィールドのような広いグラウンドがあるので、当初考えていた定員をはるかに超える大勢の子どもたちを受け入れることができる、とも言えますよね」
――いわきの子どもたちが、やがては日本のスポーツ界を変える、と。
「彼ら、彼女らがあと5年もたてば中学を卒業して高校に入ってくるので、そのときに何かが見えてくれば。スポーツ万能の子どもたちが生まれてくれば、というところではありますが、それが最終的は目標ではありません。仮にスポーツができなくても、社会に出て活躍してくれたらと思っています。
今は基本的にいわき市の子どもだけを対象にしていますけど、今後はもっと広がっていくのではないでしょうか。そこはいわきスポーツクラブの大倉智代表取締役が、いろいろと考えていると思います。
大倉代表取締役はいわき市を東北ナンバーワンの都市にすると言っているので、東北全体を巻き込んでいって、将来的には日本全国から子どもたちが集まってくるような場所になるのではないでしょうか」
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
マルバ千葉fc、リオンジュニア、TSAフットサルスクールらが準々決勝に駒を進める【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】2025.08.16
-
FCポルタ、デサフィオC.F、武生FCブルーキッズらがラウンド16進出!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】2025.08.16
-
FCトリアネーロ町田、京都長岡京SS、ともぞうSCらが2連勝スタート!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】2025.08.15
-
全試合日程・組み合わせ・会場一覧【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】2025.08.14
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- FCポルタ、デサフィオC.F、武生FCブルーキッズらがラウンド16進出!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- FCトリアネーロ町田、京都長岡京SS、ともぞうSCらが2連勝スタート!【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- 全試合日程・組み合わせ・会場一覧【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- 判断は“頭”でするものではなく“感情”でするもの。元フットサル日本代表監督の言葉から紡ぐ「すべてを出し切る指導」の真意
- マルバ千葉fc、リオンジュニア、TSAフットサルスクールらが準々決勝に駒を進める【JFAバーモントカップ 第35回全日本U-12フットサル選手権大会】
- 指導者が熱心でないのでクラブを辞めさせたい
- 人生最大の挫折――。本田圭佑がガンバユースに昇格できなかった本当の真相【後編】
- 「早熟」の基準とは何か。子どもたちの成長につなげる指導者の役割とは
- U-19日本女子代表メンバー発表!【AFC U20女子アジアカップタイ2026予選】
- 2013年度 ナショナルトレセンU-14 後期の開催概要および参加メンバー発表